
繁殖者が教える|初心者におすすめのベタの飼い方【特に水質が大事】
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ベタって「初心者でも簡単に飼える魚」とよく言われますよね。
確かに、他の熱帯魚と比べてもベタは丈夫で生命力が強い魚です。あと人懐っこくて近づくと反応してくれるので、めちゃくちゃ可愛いです。
でも僕の経験上、「水質管理をしないと」意外とすぐに弱ってしまいます。実際、ヒレが閉じたり、底でじっとしていたり、泡巣を作らなくなったり…。
その多くは「水質」と「温度」が原因です。とはいえ、水質管理は決して難しいことではありません。
少しの工夫で、ベタの健康と美しさが劇的に変わる!
それを知っているかどうかが、飼育がうまくいくかどうかの分かれ道なんです。
この記事では、繁殖を行っている僕の経験をもとに、初心者の方にもわかりやすく、「ベタを元気に長生きさせるための基本的な飼い方」特に“水質管理”の重要ポイントについてお話しします。
必要なものは意外と少ない!ベタ飼育に必要な基本セット
「ベタを飼ってみたいけど、何が必要なの?」という質問をよくもらいます。実は、ベタは本当にシンプルに飼える魚です。
🔹 基本セット(これだけで飼える)
- 水槽(2〜4LでOK)
- カルキを抜いた水(もしくはカルキ抜き剤)
- ヒーター(夏以外に使用)
- ベタ専用フード
- 水温計
- ネット
- スポイト
これだけでも十分に飼えます。
ベタはもともと小さな田んぼや水たまりのような場所にも生息している魚なので、狭い水量でも元気に生活できます。
ただし、“狭い水槽=水質が悪化しやすい”点には注意が必要です。もし水槽だけでシンプルに飼う場合は、糞や餌の食べ残しをスポイトで定期的に取るかどうかで水替え頻度を変えましょう。
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スポイトでたまに掃除する場合 → 週1回の水替えでOK。(さらにフィルターを使うなら数週間に1回でOK)
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掃除をしない場合 → 週2回は全水替えを。
小型水槽ほど汚れが早く溜まり、アンモニア濃度が上がりやすくなります。
ベタは強い魚ですが、汚れた水に長くいるとヒレが痛んだり、病気の原因にもなります。スポイト掃除と定期的な全水替えを習慣にすれば、水槽だけでも十分に健康的な環境を保てます。
水草を入れるとより自然に。おすすめ3選
水草などのアイテムを入れるのもおすすめです。
なぜなら見た目が華やかになるだけでなく、水質を安定させる大切な役割があるからです。
ベタを健康に飼う上で欠かせないのが「ろ過バクテリア」。このバクテリアたちは、水中の汚れを分解してくれる水槽の影のヒーローです。
ベタのフンや餌の食べ残しからは、「アンモニア」という有害な物質が発生します。このアンモニアをそのまま放っておくと、魚は弱ってしまいます。
でも安心してください。水槽の中には、自然に「バクテリアによる浄化サイクル(硝化サイクル)」が生まれるんです。
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バクテリアの一種「ニトロソモナス菌」がアンモニアを分解して、亜硝酸に。
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次に「ニトロバクター菌」が亜硝酸をさらに分解して、硝酸塩に。
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そしてその硝酸塩を、水草やポトスなどの植物が栄養として吸収してくれる。
つまり、バクテリアが汚れを分解 → 植物が栄養として吸収 → 水がきれいになる。この自然のサイクルが水槽の中でも成立しているんです。
だから、水草や流木、ポトスの根などは、バクテリアが住みつく「ろ材(フィルターの代わり)」のような存在になります。
しかし、これらを入れるとなると大きめの水槽が必要になってきて、水替えも大変になってしまいます。そのためご自身の飼育スタイルに応じて、取捨選択していくと良いと思います。
また、ベタ1匹だけの飼育では優れた浄化システムは必要ありません。そのためアクアリウムを楽しむことを前提に選ぶと良いと思います。
僕が実際に使ってきた「観賞用として良いな、庭にあった、光や肥料が少なくても育つもの」の中でおすすめを挙げると、次の3つです。
🔹 アヌビアス・ナナ
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定番中の定番。
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光が弱くても育つ「陰性植物」で、CO₂添加や肥料は不要。
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丈夫で枯れにくく、ベタが隠れたり、休む葉っぱとしてもおすすめ。
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流木や石に巻きつけて使うと見た目もきれい。セットでも売っています。流木は微量ですが、タンニンが出るのでおすすめです。
🔹 サンショウモ(浮き草)
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水面に浮かべるタイプ。根が垂れ下がって見た目が美しい。
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ベタは直接な光が苦手なので、“日よけ”の役割にもなる。(間接日光はgood)
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水面の揺れを抑え、落ち着いた環境を作る。
🔹 ポトス(観葉植物)
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水中ではなく、根っこを水槽に垂らして使うタイプ。
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水質浄化能力が非常に高く、アンモニアや硝酸塩を吸収してくれる。
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水槽の上から根を垂らすだけで、おしゃれなインテリアにも。
これらを組み合わせると、自然で美しい僕とベタのリラックス空間が完成しました。
水質管理は簡単!でも怠るとすぐ弱る
「水質管理」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、実はたった3つのポイントを意識するだけでOKです。
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水を清潔に保つ(定期的な水換え)
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水温を安定させる(26〜28℃)特に急激な水温の変化に注意!
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カルキを抜いた水を使う
これだけで、ベタは見違えるほど元気になります。逆に、これを怠るとどんなに高級なエサを与えても、元気がなくなったりしてしまいます。
水温の管理が最重要
ベタは熱帯魚なので、26〜28℃がベスト。30℃くらいまでは問題ありません。むしろ代謝が上がって発色が強くなる個体もいます。
ただし、水温が低い場合は一気に調子を崩すことがあります。25℃を切るあたりから、ヒレを閉じて底でじっとしたり、食欲が落ちたり…。これは低温ストレスです。
低温になると:
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消化不良を起こしやすくなる
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免疫力が下がる
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細菌感染(尾ぐされ病など)になりやすい
一番気をつけないといけないのは、急激な水温の変化です。寒い時期はヒーターを必ず使いましょう。小型の水槽用でもOK。「ヒレが閉じてる」「動かない」ときは、まず水温をチェックです。
カルキ抜きを忘れないで
カルキ抜きを怠ると、いくら水温やエサを完璧にしても健康を維持できません。水質の基本は「カルキを抜くことから」。ここがスタートラインです。
日本の水道水には、消毒のために塩素(カルキ)が含まれています。このカルキは魚にとって刺激が強く、特にベタのようにヒレが繊細な魚には大敵です。
ヒレの先が白くなったり、エラが荒れるのはカルキが原因のこともあります。
🔹 カルキを抜く3つの方法
① カルキ抜き剤を使う
市販の中和剤を数滴入れるだけで、すぐに安全な水にできます。初心者にも一番おすすめです。
② 汲み置きで自然に抜く
バケツに水を入れて放置するだけでも塩素は抜けますが、時間は季節や日照条件によって大きく異なります。
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真夏の紫外線たっぷりの屋外 → 数時間で抜ける
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冬の寒い日陰 → 2〜5日かかることも
③ 沸騰させてカルキを飛ばす
最も効率が良いのは沸騰です。水を一度沸かして冷ませば、短時間で完全にカルキを除去できます。
新しくベタを迎えたときはブラックウォーターで落ち着かせよう
ベタは環境変化にとても敏感です。新しくお迎えしたばかりのときは、ストレスでヒレを閉じたり、動かなくなることがあります。
そんなときにおすすめなのが、ブラックウォーターです。
🔹 ブラックウォーターとは?
東南アジアの川や池では、落ち葉や樹皮から出るタンニンやフラボノイドによって、水が紅茶のような茶色をしています。
この天然の色付き水が「ブラックウォーター」です。この水がベタにとって最も自然で、ストレスの少ない環境なんです。
ブラックウォーターがもたらす5つの効果
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抗菌・抗真菌作用
タンニンが水を弱酸性に保ち、細菌やカビの繁殖を防ぐ。 -
ストレス軽減
自然の植物成分が魚を落ち着かせる。 -
免疫力アップ
フラボノイドが抗酸化作用を持ち、病気に強くなる。 -
発色を促進
体色が深くなり、メタリック感が増す。 -
傷の回復を助ける
ヒレ裂けや小さなケガを自然に修復。
天然リーフパックが理想的な理由(サカタのベタ)
僕が特におすすめしたいのが、5つの天然素材がブレンドされた天然リーフパック。これは「ブラックウォーターを簡単・自然に作れる」方法です。
🔹 サカタのベタ|ベタ発酵水(タイ式ファームレシピ)
実際、僕自身が繁殖や新しい個体の受け入れで使っています。
5つの天然素材をブレンドしたリーフパックです。
原料 | 主な成分 | 効果 |
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ターミナリア・カタッパの葉 | タンニン | 抗菌・抗炎症、ヒレの傷の回復 |
アカシア・カテチュー樹皮 | 高濃度タンニン | 水を弱酸性に保つ |
ヤシの雄花 | フィトケミカル | 免疫力と体力の維持 |
マンゴスチンの皮 | 抗菌・抗真菌成分 | 白カビ・尾ぐされ予防 |
天然岩塩 | ミネラル | 浸透圧調整・ストレス緩和 |
自然の力で抗菌+免疫+ミネラル補給+リラックスが同時にできます。
使い方(簡単3ステップ)
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カップに1袋入れて熱湯を注ぐ
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約1時間、常温になるまで待つ
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水槽に入れる(1袋=3〜5L目安。しかし1日や一晩おいたりして抽出時間を伸ばせば、1袋10Lほどの水槽にも対応します。多頭飼いの場合も抽出した発酵水を分けて使用できます)
紅茶のような色の水になったら成功です。
詳しい使用方法はYoutubeで確認できます。
僕の実体験
新たにベタを迎えると元気がなかったりヒレの調子が悪そうな個体がけっこういます。そのようなベタにこのリーフパックを使うと、明らかに回復が早く、ヒレの立ちや色艶が良くなります。受け入れ後に元気がなかった個体も、3日ほどで泡巣を作るようになることも。
薬品を使わず、自然素材だけでここまで安定させることができます。
よくある質問
Q:水が黒色じゃなくて、茶色くなるけど大丈夫?
→ 問題なし。ブラックウォーターといっても、実際の色は“紅茶色”が理想です。黒すぎる必要はなく、ほんのり茶色くなるくらいが自然でベタに最適です。天然のタンニンの色です。
Q:フィルターや水草と併用できる?
→ もちろんOK。むしろ相性が良く、水質をより安定させます。ただしフィルターに関して、活性炭フィルターとは相性が悪いです。なぜならタンニンも吸い取ってしまうからです。スポンジフィルターやろ材フィルター系がおすすめです。
Q:どのくらいの濃さが良い?
→ 目安は紅茶程度ですが、自分の好みに調整してください。もし薄いと思ったら、使用済みのティーバッグを水槽に入れて、さらに抽出しても大丈夫です。元気がない時は濃いめの方が良いです。
まとめ:ベタの健康は“水”で決まる
ベタの飼育で一番大事なのは、やっぱり「水」。水槽のサイズや飾りも大切ですが、水温・カルキ抜き・ブラックウォーターの3つを守るだけで、驚くほど元気で発色の良いベタになります。
水質管理は難しくありません。でも、怠ると確実に弱ります。
自然の力をうまく使って、ベタが安心できる水を作ってあげてください。
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