
ショーベタの種類と飼い方|美しさを引き出すブラックウォーター飼育
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ベタといえば「小さなコップでも飼える魚」として知られていますが、その中でも特に美しく人気が高いのが、ショーベタ(Show Betta)です。
まるで芸術品のようなヒレの形と色彩で、世界中のアクアリストを魅了しています。
でも、初めてベタを飼う人にとっては
「ショーベタって何?」
「どう違うの?」
「飼い方は難しい?」
と気になるところ。
この記事では、初心者でもわかるように、ショーベタの種類・飼い方・おすすめの水質(ブラックウォーター)について詳しく紹介します。
🎨 ショーベタとは?普通のベタとの違い
「ショーベタ(Show Betta)」とは、観賞用・コンテスト向けに改良されたベタのこと。
もともとは野生種「ベタ・スプレンデンス」から生まれ、ヒレの形や色の美しさを競うために育種されてきました。
ワイルドベタが「自然のままの美しさ」だとすれば、ショーベタは「人の手によって磨かれた美しさ」と言えます。
性格は基本的にオス同士がケンカをする気質を受け継いでいま。しかし人には慣れやすく、近づくとヒレを広げてアピールしてくれる個体も多く、可愛いです。
💠 ショーベタの主な種類
ショーベタの魅力はなんといっても、豊富なヒレと体色の種類です。
ここでは王道なヒレの形で分けられるタイプを紹介します。
ちなみにベタの名前は、このヒレの形+ダンボ・ジャイアント・ダブルテールや、体色の名前を組み合わせた名称で呼ばれます。
体色だと「ソリッド(単色)」「マーブル」「KOI」「ドラゴン」「メタリック」など多彩ですい。
ショーベタは、タイではまさにアートのようにコレクションされる魚です。
①ハーフムーン(Halfmoon)
名前の通り、ヒレを全開に広げた姿が180度の半円(ハーフムーン)。完璧なシルエットに、見る人を一瞬で魅了する圧倒的存在感があります。
光を受けて広がるそのヒレは、まるで光のヴェールのよう。「これぞショーベタ!」という華やかさを持つ、王道中の王道です。
ただし、美しさの裏には繊細さも。大きなヒレは水流や擦れに弱く、少しの刺激で裂けてしまうこともあります。
だからこそ、水はやさしく、柔らかく。
ブラックウォーター(天然のタンニンを含んだ茶色の水)で飼うと、ヒレを守り、自然の抗菌力で回復も早まります。
②プラカット(Plakat)
もしベタに“筋肉”という言葉があるなら、それは間違いなくプラカット。
短いヒレ、引き締まった体、力強い泳ぎ。まるで戦うために生まれたようなフォルムで、野性味あふれる魅力があります。
でも「闘魚のイメージ」と違って、実際はとても人懐っこいです。
飼い主の指を追いかけてきたり、エサの時間を覚えて寄ってきたり。その可愛らしさにハマる人も多いタイプです。
プラカットはヒレが短いぶん、傷つきにくくて丈夫。ただし、活発に泳ぐぶん疲れやすく、体力維持には天然ミネラルや抗酸化成分を含むブラックウォーターがぴったりです。
③クラウンテール(Crown Tail)
ギザギザに伸びたヒレが王冠のように見える“クラウンテール”。
まるで炎のように揺れるヒレは、光の角度で表情を変え、見るたびに新しい美しさを見せてくれます。特に赤やブルーのクラウンテールは存在感抜群。
「この魚、照明ついてる?」と思うほど発色が強い個体もいます。
ただしこの繊細なヒレ、ほんの小さな傷でも広がってしまうことがあります。そのため、クラウンテールにとってブラックウォーターはまるで薬草湯のような存在。タンニンが水を弱酸性に保ち、細菌の繁殖を防いでくれるんです。
さらに天然ミネラルでヒレをしなやかに保ち、破れの回復も早くなります。
④ベールテール(Veil Tail)
ゆったりと泳ぐ姿が、まるでシルクのドレス。ベタの原点ともいえるスタイルで、昔から世界中で愛されてきた定番品種です。
水流を切るように優雅に泳ぐ姿は、見ているだけで癒やされます。
ただ、長く垂れたヒレはとても繊細。水流が強すぎるとヒレが裂けたり、底に擦れて破けることも。だから「穏やかな水」と「清潔な環境」が何より大切です。
ブラックウォーターのように柔らかい水質は、ベールテールのヒレを守り、自然な艶を与えてくれます。
🪞 ショーベタの飼い方|初心者でも大丈夫?
ショーベタは見た目が繊細なだけで、実際は丈夫な魚です。ポイントさえ押さえれば、初心者でも十分に長く飼うことができます。
🔹 水槽サイズと環境
小さなコップでも生きられますが、最初は2〜5Lの小型水槽がおすすめです。
小さなコップみたいに小さすぎると水質悪化が早まります。小型水槽であれば、週1回の水換えで十分です。
一方で、水槽が広すぎるとヒーターの問題や、水換え・水草管理などの問題があります。しかし広い水槽の場合、フィルター・砂・水草などを用い、水質を綺麗に保つことができるので、水換えの頻度は下がります。またアクアリウムを楽しむこともできます。
水温は26〜28℃をキープしょましょう。低温はヒレの痛みや病気の原因になるため、ヒーターは必須です。特に急激な水温の変化には注意が必要です。
ベタは熱帯魚なので、水温が徐々に上がる時期は、30度くらいまでなら大丈夫です。
🔹 水換えのコツ
ショーベタは綺麗な水を好みます。ただし、いきなり全換水するとストレスになるため、週1回、1/3〜1/2の水換えが理想です。
新しい水はカルキ抜きをしたものを使い、温度差がないように注意しましょう。
綺麗な水を保つためには、
- スポイトで餌の食べ残しや糞を数日に1回取る
- 水草を入れて、バクテリアを増やす。
などで管理すると良いです。
🔹 餌(エサ)
1日1〜2回、数分で食べきる量を与えます。
高タンパクなベタ専用フードがベスト。餌のやりすぎは水質悪化の原因になるので注意してください。
🌿 水草やアイテムで落ち着く環境を
ショーベタは水面近くの葉っぱの上や下で休む習性があります。そのため、おやすみリーフや水草を入れてあげると安心します。
水草のおすすめは:
-
アヌビアス・ナナ:葉の上で休むのが好き。丈夫で枯れにくい。
-
ミクロソリウム(ジャワファン):日陰を作り、ストレスを減らす。
-
浮き草(サンショウモやアマゾンフロッグピットなど):水面を覆い、落ち着いた環境を作る。
これらを流木や石と組み合わせると、自然な“リラックス水槽”が完成します。
💧 ショーベタにおすすめの水質はブラックウォーター
ここが一番のポイントです!
ショーベタを美しく、健康的に育てたいなら、ブラックウォーターがおすすめです。
なぜこんなにブラックウォーターを推しているのかというと、ブラックウォーターがベタにとって最高の水なのは間違いないのですが、実際タイのほとんど養殖家がベタをブラックウォーターで飼っているからです。
例えば我々だと、中型水槽・大型水槽には、水質のためにフィルターを付ける人がほとんどですよね?そのような感じで、タイの養殖家はブラックウォーターで飼う人がほとんどです。
🔸 ブラックウォーターとは?
マジックリーフ(ターミナリア・カタッパの葉)などの天然素材から抽出される「タンニン」や「フラボノイド」が溶け込んだ茶褐色の水のことです。
東南アジアの原産地では、このブラックウォーター環境でベタが生息しています。
🔸 効果
-
タンニンによる抗菌・抗真菌作用で病気を防ぐ
-
フラボノイドが免疫力と発色を向上
-
水を弱酸性に保ち、ヒレや鱗を美しく維持
-
視覚刺激を和らげ、ストレスを軽減
つまり、ショーベタのヒレ・発色・健康を守る自然のサプリ水なんです。
💧 ショーベタにブラックウォーターが必要な理由
ショーベタは見た目こそ華やかで力強く見えますが、実はとても繊細な魚です。特に長く大きなヒレを持つ個体ほど、水質や環境の変化に敏感です。
迎え入れた直後や水換え後に、ヒレがボロボロになっていたり、裂けていたりするのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
🧬 なぜヒレがボロボロになるのか?
原因は主に以下の3つです。
-
水質変化による粘膜ダメージ
→ベタの体表は薄い粘膜で覆われており、水のpH変化やカルキ、アンモニアなどで簡単に傷つきます。
傷ついた粘膜は雑菌が入りやすく、尾ぐされ病などの感染リスクが高まります。 -
ストレスによる免疫低下
→ショップから自宅の水槽へ移すと、水温・水質・環境音すべてが変わります。
このストレスでヒレを閉じたり、動かなくなったり、ヒレが溶けるように弱ることも。 -
水が“綺麗すぎる”ことによる乾燥的ダメージ
→phが高い真水は、ベタにとっては「刺激が強い水」です。
天然の環境では、常にタンニンなどの有機酸が溶け込んだ柔らかい水の中(phが7)で暮らしているため、真水ではヒレが“パサつく”ように劣化してしまうことがあります。
🪵 だからこそブラックウォーターが必要
このようにブラックウォーターは、東南アジア原産のベタたちにとって最も自然な水質です。
マジックリーフや樹皮などから出る「タンニン」「フラボノイド」「植物由来ミネラル」が溶け込むことで、水がほんのり茶色くなり、次のような効果をもたらします。
- 水を弱酸性に寄せて、細菌の繁殖を抑える。
- タンニンが粘膜を保護して、ヒレの裂けや白化を防ぐ。
- 抗菌・抗真菌作用で、尾ぐされ病を予防する。
- フラボノイドによる抗酸化作用で、ストレスを軽減する。
- 微量ミネラルが、鱗とヒレをしなやかに保つ。
つまり、ブラックウォーターは「自然のヒレ保護剤」なんです。
ショップから迎えたばかりのショーベタがヒレを閉じていたり、泳がずに底でじっとしている場合も、ブラックウォーターにすることで数日でヒレが再生し、発色が戻ってくることがあります。
🌿 僕が実際に行っているブラックウォーター
ショーベタ(特にハーフムーンベタ)は、迎え入れ時の水質変化によるストレスで、ヒレがボロボロになったり、避けたりすることが多いです。そのため、必ずブラックウォーター環境で育てます。
使っているのは、ベタ繁殖家でにある僕が開発したサカタのベタ|ベタ発酵水(タイ式ファームレシピ)です。
カタッパの葉やアカシア樹皮、マンゴスチンの皮などがバランスよくブレンドされていて、水がほんのり紅茶色になります。
入れて2〜3日でヒレの先端に再生の兆しが見られ、1週間も経つと新しい膜が伸びきます。それほどクオリティにこだわった最高の商品です。是非みなさんも試してみてください!
🪄 サカタのベタ|ベタ発酵水(タイ式ファームレシピ)
このようにブラックウォーターを手軽に作りたいなら、「サカタのベタ ベタ発酵水」がおすすめです。
原料 | 主な成分 | 効果 |
---|---|---|
・ターミナリア・カタッパの葉 | タンニン | ヒレ・鱗の保護、抗菌作用 |
・アカシア・カテチュー樹皮 | 高濃度タンニン | 水を弱酸性に調整 |
・ヤシの雄花 | フィトケミカル | 免疫力サポート |
・マンゴスチンの皮 | 抗菌・抗真菌成分 | 尾ぐされや白カビ対策 |
・天然岩塩 | ミネラル | 浸透圧を整え、ストレスを緩和 |
使い方は簡単!
カップに1袋入れて熱湯を注ぎ、冷めたら水槽へ。
1袋で3〜5Lが目安です。(しかし、1日や一晩おいたりして抽出時間を伸ばせば、1袋10Lほどの水槽にも対応します。多頭飼いの場合も抽出した発酵水を分けて使用できます。)
紅茶のような色になったら、理想的なブラックウォーターの完成。
詳しい使用方法は、YouTubeから確認できます。
🧭 ショーベタ飼育のまとめ
項目 | ポイント |
---|---|
・水槽サイズ | 2〜5L(小型でOK。ですが、フィルター・砂・水草・流木などを入れたい方は5L以上。) |
・水温 | 26〜28℃ |
・水換え | フィルターなしの場合で、スポイトで糞を取り出すなら週1回、1/3〜1/2水換え。何もしない場合は週2回。 |
・餌 | 1日1〜2回、少量ずつ。 |
・環境 | 水草・おやすみリーフ |
・水質 | ブラックウォーターで安定・健康維持 |
🌈 最後に:美しいショーベタには「自然な水」が一番
ショーベタの美しさを引き出すポイントは、
「水の質」
にあります。
ただの透明な水よりも、自然の植物成分が溶け込んだブラックウォーターのほうが、ヒレの艶・発色・動きすべてが落ち着き、まるで別の魚のように輝きます。
観賞魚としてだけでなく、自然の命としてベタを大切に育てる。そんな気持ちで、ぜひブラックウォーター環境を試してみてください。
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