ブラックウォーターはpHを下げるだけじゃない良い効果とは!TDSについても解説

ブラックウォーターはpHを下げるだけじゃない良い効果とは!TDSについても解説

こんにちは、サカタのベタのサカタです。

ブラックウォーターというと、

  • 「pHを下げるためのもの」
  • 「茶色い水にするもの」
  • 「TDSが上がるから水草に悪そう」

このようなイメージを持っている方も多いと思います。

でも実際には、ブラックウォーターの本質はpHを下げることだけではありません。

むしろ大切なのは、魚が落ち着いて過ごしやすい、刺激の少ない安定した環境を作ることです。

この記事では、サカタのベタを使った実測も交えながら、

  • ブラックウォーターの本当の役割
  • pHはどれくらい変わるのか
  • TDSが上がるのは悪いことなのか
  • 水草にはどんな影響があるのか
  • ベタ発酵水とマジックリーフティーバッグの違い

を、できるだけわかりやすく解説していきます。

記事の最後には、YouTube動画でも検証しているので、そちらもぜひチェックしてみてください。

要点まとめ

  • ブラックウォーターの本質は「pHを強制的に下げること」ではなく、魚が落ち着きやすい安定した環境を作ることです。
  • 実測では、 pH8.9 → 8.4〜8.6 、pH7.6 → 7.4〜7.3に低下しました。
  • ただし、もともと pH7 前後の水では変化幅は小さいことが多いです。
  • TDS は上がりますが、植物由来成分や微量ミネラルによる上昇であり、必ずしも「悪い上昇」ではありません。
  • 水草に影響が出やすいのは、主にカルシウム・マグネシウムが強く高い硬水です。ブラックウォーター由来の上昇は、それとは意味が違います。
  • 大切なのは、数値を無理にいじることではなく、熱帯魚が無理なく過ごせる範囲で安定させることです。
  • 小型ベタ水槽にはベタ発酵水、20〜30L前後の水量にはマジックリーフティーバッグもかなり使いやすいです。

ブラックウォーターの役割

ブラックウォーターというと、「pHを下げる水」と思われがちです。

でも、僕が考えるブラックウォーターの役割は、もっと本質的なところにあります。

ブラックウォーターは、魚にとって刺激が少なく、落ち着いて過ごしやすい環境を作るためのものです。

東南アジアの止水域や浅場では、落ち葉や樹皮、果皮などの植物由来成分が少しずつ水に溶け込み、水が淡い茶色〜琥珀色になることがあります。ベタやグラミーは、そうした環境と相性が良い魚です。

ブラックウォーターにすると、

  • 光刺激がやわらぐ:微着色でまぶしさや反射が穏やかになる
  • 視界の刺激が減る:周囲の動きが見えすぎない環境を作りやすい
  • 急変しにくい方向へ寄る:無理に数値を動かすのではなく、環境全体が落ち着く
  • 自然寄りの雰囲気になる:ベタが落ち着きやすい空気感を作りやすい

ここで大事なのは、ブラックウォーターは薬ではないということです。

何かを直接治すものではなく、魚が余計な刺激で消耗しにくい環境づくりの選択肢として考えるのが自然です。

カタッパ葉の研究報告はどう読むべきか|面白い効果の広告はあるが、万能薬ではない

ここで、サカタのベタで使用しているカタッパの葉、いわゆるマジックリーフに関する研究報告についても触れておきます。

僕はこれまで、カタッパの葉やブラックウォーターについて、あまり大きな声で「効果があります」とは言ってきませんでした。

なぜなら、これは薬ではないからです。

入れれば病気が治るとか、必ず繁殖するとか、そういうものではありません。

ただし、カタッパ葉抽出液については、ベタや他の魚を使った研究報告があります。2022年のベタの研究では、若いオスのベタ75匹を使い、カタッパ葉抽出液を0.125、0.25、0.5、1g/Lの濃度で8週間飼育した結果、0.25g/L前後では成長や血液指標などに一貫した悪影響は見られず、水質指標にも良い変化が報告されています。さらに、泡巣づくりの頻度が平均1.70倍、泡巣のサイズが平均1.52倍になったという報告もあります。

この報告はかなり興味深いです。

僕自身も、ブラックウォーターにするとベタの繁殖スイッチが入りやすいように感じることがあります。

ただし、ここでも誤解してほしくないのは、カタッパを入れれば必ず繁殖する、という意味ではないことです。

ベタの繁殖には、ペアの相性、水温、栄養状態、成熟度、隔離の仕方など、いろいろな条件があります。

だから、カタッパの葉は「繁殖を直接起こす魔法のスイッチ」ではなく、ベタが本来の行動を出しやすい水環境づくりに関係している可能性がある、と考えるのが自然です。

一方で、研究では良い変化が報告されているだけではありません。成長や一部の血液指標では変化が見られなかった項目もあり、さらに高濃度ではpHが下がりすぎたり、かなり高濃度では魚種によって毒性が出たりする報告もあります。だから僕は、カタッパの葉を万能薬とは考えていません。大事なのは、適度な濃さで、ベタにとって落ち着きやすい水環境を作ることです。

この考え方は、サカタのベタの商品設計にも反映しています。マジックリーフティーバッグは5gを20〜30L前後に使う設計で、単純な乾燥葉換算では約0.17〜0.25g/Lです。また、ベタ発酵水に配合しているカタッパ葉の量も、使用目安の水量に対して乾燥葉換算で0.25g/L前後になるよう意識しています。

これは、研究で良好な結果が報告された0.25g/L前後という濃度帯を参考にしたものです。もちろん、論文の条件と家庭水槽で乾燥葉を抽出して使う条件は完全に同じではありません。葉の状態、抽出時間、水質、水量によって成分の出方は変わるため、「論文と同じ効果が出ます」とは言いません。

ただ、カタッパ葉の量については、研究報告と実際の飼育経験の両方を見ながら、適度な量にしています。

実測:サカタのベタで pH はどれだけ変わる?

まず前提として、サカタのベタとは、ブラックウォーターを作るためのティーバッグです。

紅茶のように、ティーバッグをカップに入れて熱湯を注ぎ、抽出液を作ります。そして、その抽出液を水槽に入れてブラックウォーターにします。

抽出条件

  • 10L弱用:ティーバッグ+熱湯で一晩抽出
  • 3〜5L用:ティーバッグ+熱湯で約2時間抽出

開始水の性質

僕の場合、水道水 pH7.6 をコンクリート容器で汲み置きしているため、pH が上がります。

水道水 pH7.6 → コンクリート容器の影響で pH8.9 まで上昇しました。

次に、その pH8.9 の水が入った水槽へ、サカタのベタのブラックウォーター抽出液を入れて変化を見ました。

結果

  • pH 8.9 → 8.4〜8.6(低下幅 0.3〜0.5)

pH8.4くらいであれば、ベタに全く問題ありません。実際、ベタの稚魚管理でも pH8.4 前後の水を使うことがあります。

そして、その後、普通の水槽でpH7.6くらいでも、何度も調べた結果、pHは0.2-0.3前後下がる結果となりました。

結果

  • pH 7.6 → 7.4〜7.3(低下幅 0.2〜0.3)
注意:日本の一般的な水道水のように、もともと pH7 前後でそこまで高くない水では、低下幅はかなり小さくなることがあります。

pH は「下げる」より「安定」

ブラックウォーターを使うと、たしかに pH が少し下がることがあります。

でも、ここで大事なのは、ブラックウォーターの目的は pH を狙って下げることではないということです。

pH の動きは、水そのものの性質、とくに KH(炭酸塩硬度)や緩衝能にかなり左右されます。

つまり、同じブラックウォーターを使っても、

  • ほとんど変わらない水
  • 少しだけ下がる水
  • 高 pH 域ではやや動く水

があります。

だから僕は、ブラックウォーターを「pH調整剤」として使う考え方はおすすめしていません。

結論:ベタが無理なく生息できる範囲に収まっているなら、無理に薬で pH を動かすより、“今ある水を安定させる”方向で考える方が魚に優しいです。

ちなみに、ベタの原産国であるタイでは、水道水がアルカリ寄りの地域も普通にあります。つまり、「必ず弱酸性でないとダメ」と決めつけるのは現実と合わないことが多いです。

pHを下げるより大切なブラックウォーターの価値

ブラックウォーターの魅力は、pHを下げることだけではありません。

むしろ、僕が一番大きい価値だと思っているのは、魚が落ち着いて過ごしやすい環境を作れることです。

ブラックウォーターになると、水がほんのり茶色くなります。すると、

  • 光がやわらかく見える
  • 反射が穏やかになる
  • 周囲の動きが見えすぎない
  • 水槽全体の空気感が落ち着く

こうした変化が起きやすくなります。

特にベタのように、環境変化や外部刺激の影響を受けやすい魚では、この差が意外と大きいです。

ここでいう「体調を整える」とは、薬のように体に直接何かをするという意味ではありません。

落ち着いて過ごしやすい環境を作ることで、余計な消耗を減らし、コンディションの安定をサポートするという意味です。

だから、ブラックウォーターの価値は「pHが何ポイント下がるか」だけでは測れません。

pHを下げることよりも、魚が落ち着いて過ごしやすい“方向”を作ること。
そこが、ブラックウォーターの本当の価値です。

TDSとは?“高い=悪い”じゃない理由

ちなみに、サカタのベタを使うと TDS は上がります。

ここで不安になる方もいますが、まず大事なのは、TDSが上がる=即悪いこと、ではないということです。

TDS(Total Dissolved Solids)は、水に溶けた成分の総量(ppm)です。

一般的な TDS メーターは電気伝導度から推定するため、主に電解質イオン(Na⁺, K⁺, Ca²⁺, Mg²⁺ など)の多寡を反映します。

良い上昇と悪い上昇

種類 主成分 意味
良い上昇 Na⁺, K⁺, 微量元素、植物由来成分など 電解質バランスや環境の安定に関わる上昇
悪い上昇 アンモニア、亜硝酸/硝酸、リン酸、餌の溶出など 水質悪化・コケ・魚へのストレスにつながる

“硬水=TDS 高い”とは限らない

硬度は主に Ca²⁺ と Mg²⁺ の量で決まります。

つまり、Na⁺・K⁺中心で TDS が上がっても、硬度が高いとは限りません

サカタのベタでの上昇は、天然塩由来の Na・K と、植物由来成分によるものが中心です。なので、「TDSが上がった=すぐ悪い硬水になった」という理解ではありません。

ちなみに、時間経過で TDS は落ち着いてくることがあります。その理由としては、

  • イオンが壁面・底材・流木・水草に吸着する
  • 一部成分が沈殿して自由イオンが減る
  • 有機酸が金属イオンと錯体を作り、導電度への寄与が小さくなる

などが考えられます。

TDSと水草|育ちにくくなるのはどんな時?

水草の生育を鈍らせやすい主因は、主にCa・Mg の過多(=硬度過多)です。

一方で、Na・K中心の上昇は、それとは意味が違います。

TDS の目安 水草への一般的な印象
100–300 多くの水草で◎
300–500 陰性水草・浮き草は◎/軟水専好種はやや鈍化することも
500–700 一部の種で吸収効率低下。種類選定が必要

※ 実際は「数値」だけでなく「中身」で変わります。Ca・Mg が高い硬度水は注意、Na・K・植物由来成分主体なら影響は比較的軽いことがあります。

なので、ブラックウォーターで TDS が上がったからといって、すぐに「水草に悪い」とは言えません。大事なのは、何が溶けているかです。

サカタのベタで作るブラックウォーター

ブラックウォーターを作ると聞くと、少し難しそうに感じるかもしれません。でも、サカタのベタなら、家庭でもかなり扱いやすく作れます。

ここで紹介したいのは、ベタ発酵水マジックリーフティーバッグの2つです。

ベタ発酵水|小型ベタ水槽にかなり使いやすい

ベタ発酵水は、カタッパ葉だけでなく、

  • カタッパの葉
  • アカシア・カテチュー樹皮
  • マンゴスチンの皮
  • ヤシの雄花
  • 天然塩

を組み合わせたティーバッグです。

つまり、単に葉っぱ1種類で色をつけるというより、ベタが落ち着きやすい方向へ寄せるブラックウォーター環境を、家庭で使いやすくしたものです。

特に、

  • 3〜5Lくらいの小型ベタ水槽
  • 迎え入れ直後
  • 環境変化のある時
  • ブラックウォーターをバランスよく使いたい時

にはかなり相性が良いです。

ベタ発酵水の作り方

  1. ティーバッグ1袋をカップに入れる
  2. 熱湯を注ぐ
  3. 約2時間抽出する
  4. 冷ましてから少しずつ水槽へ入れる

目安は、1袋で3〜5Lです。一晩抽出すると、10L弱でも使いやすくなります。

マジックリーフティーバッグ|20〜30L前後の水量で使いやすい

もう一つが、マジックリーフティーバッグです。

こちらは、カタッパの葉100%をティーバッグにした商品で、よりシンプルにブラックウォーターを作りたい方に向いています。

特に、

  • 20〜30L前後の水量
  • レイアウト水槽
  • 熱帯魚水槽を自然寄りの雰囲気にしたい時
  • マジックリーフをそのまま入れるより、抽出して使いたい時

にかなり使いやすいです。

使い方は、1Lくらいの容器にティーバッグを入れて熱湯を注ぎ、一晩(約12時間)抽出するだけ。その抽出液を少しずつ水槽に加えていきます。

こちらも使用目安で使った場合、pH7.6→7.4-7.3と、pHは0.2-0.3ほど下がった結果になりました。

どう使い分ける?

  • ベタ発酵水:小型ベタ水槽、バランスよく使いたい人向け
  • マジックリーフティーバッグ:20〜30L前後の水量、カタッパ葉をシンプルに使いたい人向け

🎥 ブラックウォーターの作り方を動画で見る

数値を無理に動かすのではなく、魚が落ち着いて過ごしやすい方向へ寄せる。
それが、サカタのベタが目指すブラックウォーターです。

よくある質問

Q. ブラックウォーターは pH を下げるためのものですか?

A. いいえ。pH が少し動くことはありますが、本質はそこではありません。魚が落ち着いて過ごしやすい環境を作ることが中心です。

Q. TDS が上がるのは悪いことですか?

A. 必ずしも悪いことではありません。大事なのは「何が溶けて上がっているか」です。植物由来成分や微量ミネラルによる上昇は、水質悪化による上昇とは意味が違います。

Q. ベタ発酵水とマジックリーフティーバッグはどちらがいいですか?

A. 小型のベタ水槽や、バランスよく使いたい場合はベタ発酵水が使いやすいです。20〜30L前後の水量で、カタッパ葉をシンプルに使いたい場合はマジックリーフティーバッグもかなり使いやすいです。

Q. 水草には悪いですか?

A. 一概には言えません。ブラックウォーターでTDSが上がっても、その中身がCa・Mg過多ではないなら、すぐに悪影響とは言えません。特に陰性水草や浮き草では問題なく育つことも多いです。

まとめ

ブラックウォーターの価値は「pH を下げる」ことより、「魚が落ち着ける安定した環境」を作ることにあります。

サカタのベタは、植物由来成分と微量ミネラルを使って、水を急変させずに、ベタや熱帯魚が過ごしやすい方向へ寄せていく考え方です。

数値だけを追いかけるのではなく、その魚が無理なく過ごせる範囲で安定させる
それが、ベタを長く健康的に楽しむコツだと僕は思っています。

🎥 サカタのベタのブラックウォーターの pH と TDS を動画で見る

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