ベタの繁殖方法完全ガイド|お見合い・産卵・孵化・稚魚育成まで
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ベタの繁殖方法完全ガイド|タイ式のお見合い・産卵・孵化・稚魚育成まで
タイ人の専門家である妻と実際に行っている繁殖方法をもとに、準備から稚魚が泳ぎ始めるまでの流れを順番に解説します。
今回は、僕とタイ人の妻が実際に行っている、ベタの繁殖方法を最初から最後まで紹介します。
妻はタイで昔から行われている繁殖方法を知っており、僕たちもタイのベタ繁殖家や、家庭でベタを繁殖させている人たちの方法を参考にしてきました。
ただし、タイの中でも、繁殖家や家庭によって容器、水深、お見合い期間、親魚を取り出すタイミングなどは異なります。
この記事の方法だけが、唯一正しい繁殖方法という意味ではありません。
この記事では、僕たちが実際に成功している方法を中心にしながら、研究で確認されているベタの繁殖条件や、初心者が特に注意したい点も補足します。
僕たちの繁殖方法のポイント
- 水深は5〜12cmほどの浅めにする
- 水面に広い葉を浮かべ、泡巣の土台を作る
- 繁殖水はブラックウォーターにする
- オスとメスをすぐに同居させず、約3日間見える状態で慣らす
- 僕たちは夕方にメスを解放する
- 時間だけでなく、オスとメスの行動を見て取り出す
- 稚魚が自由に泳ぎ始めるまではオスに世話を任せる
繁殖を始める前に確認してください
ベタは一度の繁殖で、多くの稚魚が生まれる可能性があります。
- 稚魚用の小さな餌を準備できるか
- 成長後に広い育成容器を用意できるか
- オス同士を分ける容器を用意できるか
- 増えたベタを最後まで管理できるか
繁殖が成功した後の方が、管理には時間と場所が必要です。
1.繁殖容器は静かな水と浅めの水深にする

僕たちは、バケツや浅い容器へカルキ抜きをした水を入れて繁殖させています。
水深の目安は、約5〜12cmです。
研究施設でベタを繁殖させた報告でも、水深約10cmの静かな水が使われています。別の研究では、5Lの繁殖容器へ水深10cmまで水を入れ、28〜30℃に保っていました。
浅い水深には、僕たちの飼育では次のような利点があります。
- 落ちた卵をオスが拾う時の上下移動が短い
- 泡巣、卵、孵化した稚魚を確認しやすい
- 稚魚が水面付近へ移動しやすい
- メスの様子を確認しやすく、必要な時に取り出しやすい
ただし、水深が浅いと水量も少なくなります。
水量が少ない容器は、水温や水質が変わりやすいため、浅ければ浅いほど良いという意味ではありません。
水温は、僕たちの環境では28℃と暖かい状態を保っています。なぜなら研究施設では、繁殖時に28℃前後、または28〜30℃が使われた例があるからです。
急激な水温変化を避け、オスとメスを入れる前から水温を安定させておくことが重要です。
繁殖中は、強いフィルターやエアレーションによる水流を作りません。
泡巣が作られる水面は、できるだけ静かな状態にします。
2.水面に広い葉を浮かべて泡巣の土台を作る

水面には、泡巣の土台になる広い葉を1枚浮かべます。
僕たちは、庭にあるマヨムの葉を使いました。

この葉の目的は、マヨムの成分を水へ溶かすことではありません。
水面で泡を支え、泡巣を作りやすい場所を用意することが目的です。
研究施設でも、ベタの繁殖容器へ浮かべたカタッパの葉を入れ、泡巣づくりの土台として使用した例があります。
安全性を確認できる葉であれば、バナナの葉などを使う方法もあります。浮草や、観賞魚用に作られた泡巣の土台でも構いません。
種類が分からない葉や、農薬が付着している可能性のある葉は使用しないでください。
僕たちは使用前に、葉の表面を水で軽く洗い、虫や汚れを落としています。
3.繁殖水はブラックウォーターにする

僕たちが実際に見てきたタイの繁殖家や、家庭でベタを繁殖させている人たちは、ほとんどがブラックウォーターで繁殖を行っています。
もちろん、タイのすべての人が、全く同じ濃さや同じ材料を使っているわけではありません。
カタッパの葉をそのまま入れる人、煮出した液を使う人、複数の植物素材を組み合わせる人など、作り方には違いがあります。
僕たちは、カタッパの葉、アカシア・カテチュー樹皮、ヤシの雄花、マンゴスチンの皮、天然塩を組み合わせたブラックウォーターを使っています。

- カタッパの葉
- アカシア・カテチュー樹皮
- ヤシの雄花
- マンゴスチンの皮
- 天然塩
ブラックウォーターは、病気を治す薬ではありません。
また、ブラックウォーターだけで、必ず繁殖が成功するわけでもありません。
繁殖には、親魚の成熟、相性、栄養状態、水温、水流、お見合い方法、隠れ場所なども関係します。
一方、カタッパ葉抽出液を使った2022年の研究では、若いオスのベタを0.125、0.25、0.5、1g/Lの抽出液で8週間飼育した結果、抽出液を使用しなかった群と比べて、泡巣を作る頻度が平均約1.70倍、泡巣の大きさが平均約1.52倍になりました。
研究者は、調べた複数の項目を総合し、0.25g/Lを成長期のオスに適した濃度として報告しています。
ただし、この研究は、カタッパ葉抽出液を使った若いオスの飼育試験です。
商品の効果や、繁殖成功率を直接調べた研究ではありません。
研究について詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しています。
カタッパの葉はベタの泡巣づくりに関係する?ブラックウォーターと繁殖行動
水量でベタ発酵水とマジックリーフを使い分ける
僕は、繁殖容器の水量によって、次のように商品を使い分けることをおすすめしています。
水量10Lまで
サカタのベタ ベタ発酵水

5種類の素材を組み合わせたティーバッグです。
- 基本の目安:1袋で3〜5L
- 抽出方法:熱湯で約2時間
- 約10Lに使用する場合:一晩、約12時間抽出
10Lを超える水量
マジックリーフティーバッグ

カタッパ葉だけを1袋5g入れたティーバッグです。
- 10〜15L:中身を約半量、2.5g
- 20〜30L:1袋5g
- 抽出方法:約1Lの熱湯で一晩、約12時間
ベタ発酵水にはカタッパ葉も含まれているため、ベタ発酵水とマジックリーフティーバッグを必ず併用する必要はありません。
基本は、水量に合わせてどちらか一方を選びます。
この記事の写真では、手元にあったカタッパの葉も使いましたが、商品を使用する場合は、使用目安に合わせて選んでください。
どちらの商品も、アンモニアや亜硝酸を除去するものではなく、水換えを不要にする商品でもありません。
4.繁殖できるオスとメスを選ぶ

メスは、元気に泳ぎ、餌をよく食べ、お腹がふっくらしている個体を選びます。
お腹の下に、白い産卵管が確認できることも、成熟を判断する材料のひとつです。
ただし、産卵管が見えるだけで、必ず産卵できるとは限りません。
痩せている、泳ぎが弱い、ヒレを閉じている、病気が疑われる個体は、繁殖に使いません。

オスは、元気に泳ぎ、ヒレをしっかり開き、メスへ反応する個体を選びます。
僕たちは、メスより少し大きく、泡巣づくりに積極的なオスを選ぶことが多いです。
ただし、泡巣を作っていることだけで、繁殖が成功するとは限りません。
最終的には、オスとメスの成熟状態と相性を見ます。
5.オスとメスを約3日間お見合いさせる

僕たちは、オスとメスをいきなり同居させません。
繁殖容器へ先にオスを入れ、メスは透明なペットボトルや透明ケースの中へ入れます。
同じ水の中で互いの姿は見えますが、直接接触できない状態です。
僕たちのお見合い期間は、約3日です。
この間に、次の様子を確認します。
- オスが泡巣を作る、または泡巣を大きくする
- オスがメスへ反応する
- メスが極端に逃げ続けていない
- メスの腹部がふっくらしている
- オスとメスの両方に体調不良がない
3日間という日数は、僕たちが使っている目安です。
個体によっては早く準備が整う場合もあれば、3日経っても状態が整わない場合もあります。
日数だけで同居を決めず、オスとメスの行動を確認してください。
6.静かな場所に置き、できるだけ触らない

繁殖容器は、人が頻繁に通らない静かな場所へ置きます。
容器にはフタをして、急な明るさの変化や、外からの刺激を減らします。
フタには、飛び出しを防ぐ役割もあります。
完全に密閉するのではなく、水面とフタの間に空間を残します。
繁殖中は気になって何度も確認したくなりますが、頻繁にフタを開けたり、容器を動かしたりすると、オスが泡巣の世話をやめることがあります。
餌や安全確認以外は、できるだけそっとしておきます。
7.僕たちは夕方にメスを解放する

約3日間のお見合いを終え、オスが泡巣を作り、メスの状態も整っていると判断したら、透明ケースからメスを出します。
僕たちは、夕方ごろにメスを解放しています。
これは、僕と妻が実際に行っている方法です。
夕方でなければ繁殖できない、という意味ではありません。
時間帯よりも、解放後にメスが逃げ込める場所があり、飼育者がしばらく観察できる状態で行うことが大切です。
同居直後は、オスがメスを追いかけたり、ヒレを広げたりすることがあります。
ある程度の追尾は繁殖行動の中で見られますが、次の状態になった場合は、そのまま続けません。
- メスが激しく噛まれ続ける
- 逃げる場所がなく、水面や隅へ追い詰められる
- 出血や大きな傷が見られる
- メスが横たわる、呼吸が激しくなる
- 長時間たっても繁殖行動へ移らない
危険だと判断した場合は、いったんメスを隔離し、後日やり直します。
8.泡巣の下で産卵が始まる

繁殖行動が始まると、オスは泡巣の下へメスを誘導します。
オスがメスの体へ巻きつくように抱え込み、メスが卵を放出します。
卵は水中へ落ち、オスが口で拾って泡巣へ運びます。

産卵には時間がかかることがあります。
途中で止まっているように見えても、すぐに手を入れず、危険な攻撃が起きていないかを確認しながら見守ります。
産卵が終わると、オスはメスを泡巣から遠ざけるようになります。
メスが水草の下や容器の端へ逃げ、オスが繰り返し追い払っている場合は、産卵が終わった可能性があります。
僕たちの環境では、メスを解放してから約24時間後に取り出すことが多いです。
ただし、24時間という数字だけで判断するのではなく、産卵が終わったことと、オスがメスを追い払っていることを確認して取り出します。
産卵が終わったメスを残し続けると、オスから強く攻撃される可能性があります。
9.メスを取り出し、オスに卵を任せる

メスを取り出した後は、オスだけを繁殖容器へ残します。
オスは、泡巣を修復したり、落ちた卵を拾って戻したりします。
この時期は、容器へ近づく回数を減らし、フタを頻繁に開けないようにします。
僕たちは、オスが人や給餌に慣れていない場合、稚魚が泳ぎ始めるまで餌を与えないことがあります。
これは、餌を入れるために容器を開けたり、食べ残しを出したりすることを避けるためです。
一方、人の接近や給餌に十分慣れているオスでは、少量の餌を与える方法もあります。
どちらかひとつだけが正解というわけではありません。
餌を与える場合は、泡巣から離れた場所へ少量だけ与え、食べ残しを残さないようにします。

10.卵が孵化し、稚魚が泡巣からぶら下がる

僕たちの環境では、産卵から約2日後に、泡巣から小さな稚魚がぶら下がっている様子が見られます。
孵化した直後の稚魚は、まだ安定して泳げません。
泡巣から落ちると、オスが口で拾い、再び泡巣へ戻します。
研究では、28±0.5℃の条件で、受精から28〜32時間後に孵化が確認されています。
ただし、孵化までの時間は、水温、親魚、卵の状態、観察した時間によって変わります。
「必ず何時間で孵化する」と決めつけず、泡巣を直接触らずに観察してください。
11.稚魚が自由に泳ぎ始めたらオスを取り出す

稚魚は最初、泡巣から垂直にぶら下がっています。
その後、横向きになり、水槽内を自分で泳ぎ始めます。
僕たちの環境では、産卵から3日目ごろに自由に泳ぎ始めることがあります。
研究では、孵化後2日で口と肛門が開き、孵化後3日から外部の餌を食べ始め、孵化後4日ごろに卵黄を使い切って自由遊泳を始めたと報告されています。
日数の数え方は、産卵日を1日目にするか、孵化日を1日目にするかでも変わります。
そのため、日数だけでなく、稚魚が横向きに泳ぎ、泡巣へ戻らなくなったことを確認します。
稚魚が自由に泳ぎ始めたら、一般的にはオスを別の容器へ移します。
オスを長く残すと、稚魚を食べる可能性があるためです。
僕たちの屋外飼育では、別の方法を取ることがあります
僕は複数の繁殖で生まれた稚魚をまとめるため、水合わせをして少し大きな屋外容器へ移すことがあります。
屋外では水生昆虫などへの対策としてオスを1匹残すことがありますが、親魚が稚魚を食べる可能性もあります。常に観察できる僕たちの環境で行っている方法なので、初心者の方は、稚魚が自由遊泳を始めた時点でオスを取り出し、元の容器で稚魚を育てる方が安全です。
12.稚魚が泳ぎ始めたら最初の餌を与える
稚魚が自由に泳ぎ始めるまでは、体に残っている卵黄を使って成長します。
自由遊泳を始めた後は、外から餌を食べる必要があります。
この時期の稚魚は非常に小さいため、成魚用の餌を細かく砕いただけでは、うまく食べられないことがあります。
最初の餌として使われるものには、次のようなものがあります。
- インフゾリアなどの微小な生き餌
- 小型のワーム類
- 孵化したばかりのブラインシュリンプ
- 稚魚用に作られた微粒子フード
稚魚の大きさには個体差があるため、実際に口へ入る餌を選びます。
一度に大量に与えると、食べ残しによって水質が悪化します。
少量を複数回に分け、稚魚のお腹と水の状態を確認しながら与えます。
13.繁殖より難しいのは稚魚を育てること
産卵と孵化まで成功しても、そこで終わりではありません。
本当に管理が難しいのは、稚魚が自分で餌を食べ始めてからです。
特に注意したいのは、次の4点です。
- 稚魚が食べられる大きさの餌を切らさない
- 食べ残しを増やさない
- 水温を急変させない
- アンモニアや亜硝酸をためない
繁殖容器は水深が浅く、水量も少ないため、水質が悪化しやすい環境です。
一方で、孵化直後に大量の水を急に換えると、稚魚へ大きな変化を与える可能性があります。
底の汚れや死んだ餌を細いスポイトなどで取り除き、必要に応じて水温を合わせた水を静かに補います。
詳しい水換え方法や餌の与え方については、別の記事でさらに詳しく解説していきます。
まとめ|日数よりもオスとメスの行動を見る
僕たちが行っているタイ式のベタ繁殖方法をまとめると、次の流れになります。
- 浅い水深と静かな水を用意する
- 水面に泡巣の土台になる葉を浮かべる
- 繁殖水をブラックウォーターにする
- 健康で成熟したオスとメスを選ぶ
- 透明な容器を使い、約3日間お見合いさせる
- 僕たちは夕方にメスを解放する
- 産卵が終わり、オスがメスを追い始めたらメスを取り出す
- 稚魚が自由に泳ぎ始めるまでオスに世話を任せる
- 自由遊泳後にオスを取り出し、稚魚へ小さな餌を与える
3日、24時間、2日後といった数字は、あくまで目安です。
ベタの繁殖では、カレンダーどおりに進めることよりも、オスとメスの行動を観察することが大切です。
ブラックウォーターも、入れれば必ず繁殖する魔法の水ではありません。
親魚の状態、水温、静かな水面、隠れ場所、お見合い方法などを整えたうえで、繁殖環境の一部として使用します。
焦らず、危険な攻撃が起きていないかを確認しながら、魚に任せて見守ってください。
動画で実際の繁殖の様子を見る
ベタのペアを慣らす3日間の流れ
ベタ稚魚の育て方|生後1か月までの餌と管理
参考文献
- Lichak, M. R., Barber, J. R., Kwon, Y. M., Francis, K. X., & Bendesky, A. (2022). Care and Use of Siamese Fighting Fish (Betta splendens) for Research. Comparative Medicine, 72(3), 169–180. DOI: 10.30802/AALAS-CM-22-000051
- Palmiotti, A., et al. (2023). Genetic manipulation of betta fish. Frontiers in Genome Editing, 5, 1167093. DOI: 10.3389/fgeed.2023.1167093
- Malawa, S., Nuntapong, N., Suanyuk, N., & Thongprajukaew, K. (2022). Addition of different concentrations of Indian almond (Terminalia catappa) leaf extract to aquarium water resulted in improved water quality and increased bubble nest formation by male Siamese fighting fish. Aquaculture International, 30, 3269–3288. DOI: 10.1007/s10499-022-00960-1
- Çelik, İ., Çelik, P., & Akalın, S. (2022). Larval Development of Siamese Fighting Fish (Betta splendens Regan, 1910). Acta Natura et Scientia, 3(2), 137–147. DOI: 10.29329/actanatsci.2022.352.06