ブラックウォーターは濃いほど良い?論文から見る適量の考え方

ブラックウォーターは濃いほど良い?論文から見る適量の考え方

ベタにブラックウォーターを使ってみたいと思った時、初心者の方がよく迷うことがあります。

  • 濃い方が効果があるの?
  • 茶色が濃いほどベタに良いの?
  • 薄いと意味がない?
  • どれくらい入れればいいの?

カタッパの葉やマジックリーフ、ブラックウォーターを使い始めると、つい「少し入れるより、たくさん入れた方が良いのでは?」と考えてしまうかもしれません。

しかし、結論から言うと、ブラックウォーターは濃ければ濃いほど良い、というものではありません。

実際に、ベタを対象にカタッパ葉抽出液の濃度を比較した研究では、中くらいの濃度で良い結果が見られた一方で、家庭の水槽では研究とまったく同じ条件ではないため、濃くしすぎないことが大切だと考えられます。

この記事では、論文の内容をもとに、ブラックウォーターの「濃さ」について初心者の方にもわかりやすく整理していきます。


そもそも、ブラックウォーターの「濃い・薄い」とは?

まず最初に整理しておきたいのは、ブラックウォーターの「濃さ」には、見た目の濃さと、実際に水に溶けている成分の量という2つの見方があることです。

水が茶色く見えていると、「濃いブラックウォーター」に見えるかもしれません。

たしかに、見た目の色はひとつの目安にはなります。

しかし、色が濃いからといって、必ずしも理想的とは限りません。

また、色が薄いからといって、まったく意味がないとも限りません。

ブラックウォーターの色は、カタッパの葉などから出る植物由来成分によってつきます。代表的には、タンニン、フェノール類、フラボノイドなどが関係するとされています。

つまり、見た目の色だけで判断するのではなく、ベタの様子、水量、水換え頻度、使っている素材の量を合わせて考える必要があります。

初心者向けにシンプルに言うと、ブラックウォーターは「しっかり色がついていれば良い」のではなく、「ベタに無理がなく、管理しやすい範囲で使う」のが大切です。


ベタを対象にした濃度比較の研究

ブラックウォーターの濃さについて考えるうえで、とても参考になるのがMalawaらの2022年の研究です。

この研究では、オスのベタを対象に、カタッパ葉抽出液を異なる濃度で飼育水に加え、8週間にわたって影響を調べています。

比較された濃度は次の4つです。

  • 0.125 g/L
  • 0.25 g/L
  • 0.5 g/L
  • 1.0 g/L

さらに、カタッパ葉抽出液を加えない対照群も用意され、水質、成長、餌の利用、皮膚色、泡巣形成、血液指標など、さまざまな項目が調べられました。

この研究で特に注目されるのが、0.25 g/L です。

論文では、0.25 g/Lのカタッパ葉抽出液を使った群で、成長や血液化学に一貫した悪影響が見られず、水質改善や泡巣形成の増加が報告されています。

前回の記事でも触れた通り、泡巣形成頻度は対照群と比べて平均1.70倍、泡巣サイズは平均1.52倍とされています。

ここで大事なのは、研究では「とにかく濃い方が良かった」という結果ではないことです。

つまり、ブラックウォーターの濃さを考える時は、「濃くすればするほど良い」という発想ではなく、適切な範囲を意識することが重要だと考えられます。

ちなみにサカタのベタのベタ発酵水は、この研究を含むあらゆる研究から含量を設定しており、使用目安で使えば、適度の濃さで、ベタの体調を整えるのに適したブラックウォーターを簡単に作ることができます。


別の研究ではどうだったのか

もうひとつ参考になるのが、Nugrohoらの2016年の研究です。

この研究では、Betta sp.を対象に、カタッパ葉抽出液を次の濃度で比較しています。

  • 0 ppm
  • 125 ppm
  • 250 ppm
  • 375 ppm
  • 500 ppm
  • 625 ppm

この研究では、375 ppm以上で生存率や赤血球、白血球、ヘモグロビンなどの改善が示唆されたと報告されています。

ただし、この研究も、だからといって「高濃度にすればするほど良い」と単純に解釈してよいわけではありません。

研究条件と家庭の水槽では、水量、餌の量、換水頻度、水温、フィルターの有無などが違います。

また、2016年の研究はppm表記、2022年の研究はg/L表記なので、初心者の方にとっては少しわかりにくいかもしれません。

大切なのは、どちらの研究も「適当でいい」わけではなく、濃度を意識して使っているという点です。

つまり、ブラックウォーターは「なんとなくたくさん入れる」のではなく、量や濃さを意識しながら使うべきものだと考えられます。


なぜ濃すぎる使い方に注意が必要なのか

カタッパの葉は自然素材です。そのため、「自然のものだから、たくさん入れても大丈夫」と感じてしまう方もいるかもしれません。

しかし、自然素材であっても、使い方は慎重に考える必要があります。

濃すぎるブラックウォーターに注意したい理由は、主に次の3つです。

1. 家庭水槽は研究室とは条件が違う

研究では、水量、飼育容器、餌、換水の管理などが一定の条件でそろえられています。

一方、家庭の水槽で同じようにやっても、上手くいかないこともあります。

  • 水量が多いか少ないか
  • 足し水をしているか
  • どれくらいの量を追加したか
  • 水換え頻度はどうか
  • 葉をそのまま入れているか、抽出液を使っているか

つまり、家庭でも同じ効果を過度に期待しすぎるのは危険です。

2. ベタには個体差がある

ベタは同じ種類でも、個体によって反応が違います。

よく泡巣を作る個体、慎重な個体、環境変化に敏感な個体など、さまざまです。

ある個体では問題なくても、別の個体では落ち着かないこともあります。

そのため、濃いブラックウォーターがすべてのベタに合うとは限りません。

3. ブラックウォーターは水換えの代わりではない

ここはとても重要です。

ブラックウォーターにしていても、餌の食べ残しやフンからアンモニアは発生します。

特に小型水槽では、水量が少ないぶん、水質の変化が早くなります。

もし「濃くしておけば安心」と考えて水換えが遅れると、むしろベタに負担をかけてしまう可能性があります。

ブラックウォーターはあくまで、ベタが落ち着きやすい環境づくりの補助です。

水換えや観察の代わりにはなりません。


こんな使い方は避けたい

ブラックウォーターを使う時、初心者の方がやってしまいやすい避けたい使い方があります。

1. いきなり真っ茶色にする

見た目に「ブラックウォーターらしさ」を出したくて、最初から濃くしすぎるのはおすすめできません。

まずは使用目安に従って、始めましょう。

2. 葉や抽出液をすぐに足す

ちょっと薄いかなと思っても、翌日まで待ちましょう。翌日になると、ブラックウォーターが水中に馴染んで、一段濃く見えることがあります。

3. 茶色いから安心だと思い込む

ブラックウォーターは汚れそのものではありませんが、ブラックウォーターにしていても水質悪化は起こります。

色だけを見て安心するのではなく、底の汚れ、餌の残り、におい、ベタの様子も見ましょう。

4. 病気を治す目的で濃くする

カタッパ葉に関しては抗菌性や生存率に関する研究がありますが、家庭水槽で「濃くすれば病気が治る」と言えるわけではありません。

病気の疑いがある時は、水質、水温、症状を確認し、必要に応じて適切な対処を考える必要があります。


サカタのベタ ベタ発酵水について

サカタのベタでは、ベタのためのブラックウォーターづくりとして、サカタのベタ ベタ発酵水をご用意しています。

ベタ発酵水は、カタッパの葉を中心に、アカシア・カテチュー樹皮、ヤシの雄花、マンゴスチン皮、天然塩などを使ったティーバッグ式の商品です。

葉をそのまま水槽に入れる方法もありますが、ティーバッグ式には次のような使いやすさがあります。

  • お湯で抽出してから使える
  • 濃さを調整しやすい
  • 葉くずが水槽内に散らばりにくい
  • 小型水槽でも少量ずつ使いやすい
  • 水換え後や導入直後にも使いやすい

こうした特徴は、「濃いほど良いわけではない」という今回のテーマとも相性が良いです。

サカタのベタ ベタ発酵水は、これらの研究を元に含量を設定しているので、失敗することなく、適切な濃さのブラックウォーターを作りやすいです。

使い方としては、ティーバッグをお湯で抽出し、約2時間後、飼育水に加えます。

サカタのベタでは、ベタ発酵水を病気を治す商品ではなく、ベタが落ち着きやすいブラックウォーター環境づくりをサポートする商品として考えています。

水温管理、水換え、餌の量、観察と組み合わせて使うことで、ベタにやさしい環境づくりにつながります。


まとめ:ブラックウォーターは「濃さ」より「ちょうどよさ」

ブラックウォーターは、ベタにとって落ち着きやすい環境づくりのひとつとして役立つ可能性があります。

ただし、濃ければ濃いほど良い、というわけではありません。

ベタを対象にした研究では、カタッパ葉抽出液の濃度が比較され、特に0.25 g/Lで注目される結果が報告されています。

また、別の研究でも、濃度を意識して使うことの重要性が示されています。

ここから家庭飼育で言えるのは、次のようなことです。

  • ブラックウォーターは適当に濃くするものではない
  • 濃いほど良いとは限らない
  • まずは薄めから始めるのが安全
  • ベタの様子を見ながら調整することが大切
  • 水換えや観察の代わりにはならない

ベタは小さな魚ですが、環境の変化にはとても敏感です。

だからこそ、ブラックウォーターも「たくさん入れる」ではなく、その子にとってちょうどよい濃さを探すことが大切です。

サカタのベタでは、これからも論文や研究をもとに、初心者の方にもわかりやすく、ベタにとって本当にやさしい飼育環境を考えていきます。


サカタのベタはベタ発酵水はこちら


参考文献

  1. Malawa, S., Nuntapong, N., Suanyuk, N., & Thongprajukaew, K. (2022).
    Addition of different concentrations of Indian almond (Terminalia catappa) leaf extract to aquarium water resulted in improved water quality and increased bubble nest formation by male Siamese fighting fish (Betta splendens) without having any consistent negative effects on growth metrics and blood chemistry.
    Aquaculture International, 30, 3269–3288.
    DOI: https://doi.org/10.1007/s10499-022-00960-1
  2. Nugroho, R. A., Manurung, H., Saraswati, D., Ladyescha, D., & Nur, F. M. (2016).
    The Effects of Terminalia catappa L. Leaves Extract on the Water Quality Properties, Survival and Blood Profile of Ornamental Fish (Betta sp) Cultured.
    Biosaintifika: Journal of Biology & Biology Education, 8(2), 240–247.
    DOI: https://doi.org/10.15294/biosaintifika.v8i2.6519
  3. Chansue, N., & Assawawongkasem, N. (2008).
    The in vitro Antibacterial Activity and Ornamental Fish Toxicity of the Water Extract of Indian Almond Leaves (Terminalia catappa Linn.).
    KKU Veterinary Journal, 18(1), 36–45.

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