カタッパの葉はベタに安全?論文の血液指標から考えるブラックウォーターの使い方

カタッパの葉はベタに安全?論文の血液指標から考えるブラックウォーターの使い方

ベタにマジックリーフやブラックウォーターを使ってみたいと思った時、初心者の方が気になるのは「本当に安全なのか?」という点だと思います。

カタッパの葉は、ベタ飼育では昔から使われてきた自然素材です。

水に入れると茶色いブラックウォーターになり、ベタが落ち着きやすい環境づくりに使われることがあります。

しかし、初めて使う方にとっては、次のような不安もあるかもしれません。

  • 茶色い水にしてベタに悪くないの?
  • カタッパの葉の成分は強すぎないの?
  • 自然素材なら安全と考えていいの?
  • 論文ではどのように調べられているの?

結論から言うと、カタッパの葉やブラックウォーターは、適切な使い方をすることで、ベタの水環境づくりに役立つ可能性があります。

実際に、ベタを対象にした研究では、カタッパ葉抽出液を使っても成長や血液指標に一貫した悪影響が見られなかった濃度が報告されています。

また、別の研究では、カタッパ葉抽出液がBetta sp.の生存率や血液指標に良い影響を示した可能性も報告されています。

ただし、ここで大切なのは、「自然素材だから何をしても安全」という意味ではないということです。

論文で確認されたことと、家庭の水槽での使い方は分けて考える必要があります。

この記事では、カタッパの葉とベタの安全性について、特に血液指標という視点から、初心者の方にもわかりやすく整理していきます。


血液指標とは何か?

まず、血液指標という言葉から整理します。

血液指標とは、魚の体の状態を知るために、血液の中の成分や数値を見るものです。

人間でも健康診断で血液検査をすることがあります。

魚の場合も同じように、血液の状態を見ることで、体に負担がかかっていないか、ストレスや健康状態に変化がないかを考える手がかりになります。

研究でよく見られる血液指標には、次のようなものがあります。

  • 赤血球
  • 白血球
  • ヘモグロビン
  • ヘマトクリット
  • 血糖
  • 血中タンパク質
  • その他の血液化学項目

初心者向けに簡単に言うと、血液指標は「魚の体の中で無理が起きていないかを見るための手がかり」です。

もちろん、家庭のベタ飼育で血液検査をすることはほとんどありません。

しかし、研究ではこのような数値を調べることで、カタッパ葉抽出液がベタの体にどのような影響を与えるのかを確認しています。

そのため、カタッパの葉の安全性を考える時、血液指標はとても重要な情報になります。


ベタを対象にしたカタッパ葉抽出液の研究

カタッパの葉とベタの安全性について考えるうえで、特に参考になるのが、Malawaらの2022年の研究です。

この研究では、オスのベタを対象に、カタッパ葉抽出液を異なる濃度で飼育水に加え、8週間にわたって影響を調べています。

比較された濃度は、以下の4つです。

  • 0.125 g/L
  • 0.25 g/L
  • 0.5 g/L
  • 1.0 g/L

さらに、カタッパ葉抽出液を入れない対照群も用意され、水質、成長、餌の利用、皮膚色、泡巣形成、消化酵素、筋肉の品質、体成分、血液指標などが調べられました。

この研究の重要なポイントは、単に「水が茶色くなるかどうか」を見た研究ではないということです。

ベタの体にどのような影響が出るのかを、複数の項目から調べています。

その中で、特に注目されているのが0.25 g/Lのカタッパ葉抽出液です。

論文では、この濃度で、成長や血液化学に一貫した悪影響が見られず、水質改善や泡巣形成の増加が報告されています。

これは、カタッパ葉抽出液がベタにとって必ず危険なものではなく、条件によっては水環境づくりに役立つ可能性があることを示す結果です。

ただし、ここで大切なのは、「この数字だけを家庭水槽にそのまま当てはめるべきではない」という点です。

研究では、水量、飼育条件、餌、測定方法などが管理されています。

家庭の水槽では、フィルターの有無、水換え頻度、餌の量、水量、ベタの個体差などが大きく違います。

そのため、論文は「考え方の土台」として使い、家庭では規定の使い方を守ることが大切です。

とはいえ、サカタのベタ ベタ発酵水は、このような研究結果に基づいた含量に設定しています。使用目安通りに使用すれば、適切な濃さで簡単にベタにとって最適なブラックウォーターが作成できます。


Betta sp.の生存率と血液指標を調べた研究

もうひとつ参考になるのが、Nugrohoらの2016年の研究です。

この研究では、Betta sp.を対象に、カタッパ葉抽出液を異なる濃度で使用し、水質、生存率、血液指標への影響を調べています。

比較された濃度は、以下の6つです。

  • 0 ppm
  • 125 ppm
  • 250 ppm
  • 375 ppm
  • 500 ppm
  • 625 ppm

この研究では、カタッパ葉抽出液に含まれる植物化学成分も確認されており、サポニン、トリテルペノイド、キノン、フェノール、タンニン、フラボノイドなどが検出されたとされています。

また、375 ppm以上の濃度で、生存率や赤血球、白血球、ヘモグロビンなどに良い影響が示唆されたと報告されています。

初心者向けに言い換えると、カタッパ葉抽出液は、一定の条件下ではBetta sp.の体の状態に良い方向の変化を示した可能性があるということです。

ただし、これも「たくさん入れれば良い」という意味ではありません。

研究では濃度を決めて比較しており、管理された条件の中で結果を見ています。

家庭の水槽では、自己流で量を増やすのではなく、商品ごとの使用方法に従うことが大切です。


カタッパの葉は「安全」と言い切れるのか

ここで、初心者の方が一番知りたいことに戻ります。

カタッパの葉はベタに安全なのでしょうか。

答えは、適切な使い方をすることが前提で、安全性を考えやすい素材だと言えます。

ベタやBetta sp.を対象にした研究では、カタッパ葉抽出液が成長や血液指標に大きな悪影響を示さなかった条件や、生存率・血液指標に良い影響を示した可能性が報告されています。

また、観賞魚を対象にしたカタッパ葉水抽出物の毒性や抗菌性を調べた研究もあります。

これらの研究は、カタッパの葉が観賞魚飼育で利用されてきた理由を考えるうえで参考になります。

しかし、どの研究を見ても、家庭水槽でどんな使い方をしても安全だと保証しているわけではありません。

たとえば、次のような使い方は避けるべきです。

  • 規定量を大きく超えて使う
  • 水換えをせずに使い続ける
  • 葉が腐敗しているのに放置する
  • 病気を治す目的で使う
  • ベタの様子を見ずに使い続ける

自然素材であっても、使い方を間違えれば水質悪化の原因になることがあります。

つまり、安全性を考える時に大切なのは、素材だけではありません。

使い方、水換え、観察、水量、餌の量を含めて考えることが大切です。


ブラックウォーターと水質管理は別に考える

カタッパの葉やブラックウォーターについて、特に注意したいのが水質管理です。

ブラックウォーターは、水が茶色くなるため、見た目だけでは水質の変化が分かりにくい場合があります。

茶色い水は、植物由来成分による色づきであり、必ずしも汚れではありません。

しかし、茶色いから安心という意味でもありません。

ベタは生きているだけでアンモニアを出します。

餌の食べ残しやフンからもアンモニアは発生します。

ブラックウォーターにしていても、アンモニアや亜硝酸がたまれば、ベタには負担になります。

そのため、カタッパの葉やブラックウォーターを使っている時でも、次の基本管理は必要です。

  • 定期的な水換え
  • 餌を与えすぎないこと
  • 底にたまった汚れの確認
  • 水のにおいや白濁の確認
  • ベタの泳ぎ方や餌食いの観察

ブラックウォーターは、ベタが落ち着きやすい環境づくりに役立つ可能性があります。

しかし、水質管理の代わりにはなりません。

ここを分けて考えることが、初心者の方にはとても大切です。


血液指標から見えること、見えないこと

血液指標は、魚の体の中の状態を見るうえで役立つ情報です。

カタッパ葉抽出液の研究で血液指標が調べられていることは、安全性を考えるうえで重要です。

しかし、血液指標だけですべてが分かるわけではありません。

たとえば、血液指標に大きな問題が出ていなくても、家庭水槽では次のような問題が起きることがあります。

  • 水温が急に変わる
  • 水換え不足で水質が悪化する
  • 餌の量が多すぎる
  • 水流が強すぎる
  • 周囲の刺激が強すぎる
  • 個体差で合わない場合がある

つまり、論文で血液指標に悪影響が少なかったという情報は、とても参考になります。

しかし、家庭のベタ飼育では、毎日の観察(餌を与える時に見る)と基本管理が最も重要です。

研究の結果を信頼しつつも、目の前のベタの様子を見ながら使うことが大切です。


サカタのベタ ベタ発酵水について

サカタのベタでは、ベタのためのブラックウォーターづくりとして、サカタのベタ ベタ発酵水をご用意しています。

ベタ発酵水は、カタッパの葉を中心に、アカシア・カテチュー樹皮、ヤシの雄花、マンゴスチン皮、天然塩などを使ったティーバッグ式の商品です。

サカタのベタ ベタ発酵水は、ベタの水槽で使いやすい、適度な濃さのブラックウォーターを作りやすいように設計されています。

使い方は、ティーバッグを水に入れ、約2時間抽出してから使用します。

葉をそのまま水槽に入れる方法もありますが、ティーバッグ式には次のような使いやすさがあります。

  • 抽出してから使える
  • 水槽内に葉くずが散らばりにくい
  • 小型水槽でも使いやすい
  • 導入直後や水換え後にも使いやすい
  • 適度なブラックウォーター環境を作りやすい

サカタのベタでは、ベタ発酵水を病気を治すための商品とは考えていません。

また、「これだけ入れれば水換えが不要になる」という商品でもありません。

ベタ発酵水は、あくまでベタが落ち着きやすいブラックウォーター環境づくりをサポートする商品です。

水温管理、水換え、餌の量、日々の観察と組み合わせて使うことで、ベタにやさしい飼育環境づくりにつながります。


初心者が安心して使うための考え方

カタッパの葉やブラックウォーターを使う時、初心者の方に大切にしてほしいのは、難しい数値を暗記することではありません。

大切なのは、次の考え方です。

  • 茶色い水は必ずしも汚れではない
  • カタッパの葉には研究で調べられた効果がある
  • 血液指標を見た研究でも、大きな悪影響が見られなかった条件がある
  • ただし、自然素材でも使い方は大切
  • ブラックウォーターは水換えの代わりではない
  • 病気を治す目的ではなく、環境づくりの補助として使う

このように考えると、カタッパの葉やブラックウォーターは、怖がりすぎる必要も、過信しすぎる必要もありません。

研究を参考にしながら、ベタにとって落ち着きやすい環境を作るためのひとつの選択肢として使うのが良いでしょう。


まとめ:カタッパの葉は、使い方を守れば心強い環境づくりの素材

カタッパの葉やブラックウォーターは、ベタ飼育で昔から使われてきた自然素材です。

論文では、カタッパ葉抽出液を使ったベタにおいて、成長や血液化学に一貫した悪影響が見られなかった条件が報告されています。

また、Betta sp.を対象にした研究では、生存率や赤血球、白血球、ヘモグロビンなどの血液指標に良い影響が示唆されています。

これらの研究は、カタッパの葉がベタの環境づくりに使われてきた理由を考えるうえで、とても参考になります。

ただし、カタッパの葉は万能ではありません。

病気を治す薬ではありませんし、水換えの代わりにもなりません。

本当に大切なのは、ベタの様子を毎日見ることです。

  • 餌を食べているか
  • 泳ぎ方は自然か
  • ヒレを閉じていないか
  • 呼吸が荒くないか
  • 水に異臭や白濁がないか
  • 水換えができているか

カタッパの葉やベタ発酵水は、その基本管理と組み合わせることで、ベタにやさしいブラックウォーター環境づくりを支えてくれます。

サカタのベタでは、これからも論文や研究をもとに、初心者の方にもわかりやすく、ベタにとって本当にやさしい飼育環境を考えていきます。ブラックウォーターで、ベタの体調を整えたい方におすすめです。

サカタのベタはベタ発酵水はこちら


参考文献

  1. Malawa, S., Nuntapong, N., Suanyuk, N., & Thongprajukaew, K. (2022).
    Addition of different concentrations of Indian almond (Terminalia catappa) leaf extract to aquarium water resulted in improved water quality and increased bubble nest formation by male Siamese fighting fish (Betta splendens) without having any consistent negative effects on growth metrics and blood chemistry.
    Aquaculture International, 30, 3269–3288.
    DOI: https://doi.org/10.1007/s10499-022-00960-1
  2. Nugroho, R. A., Manurung, H., Saraswati, D., Ladyescha, D., & Nur, F. M. (2016).
    The Effects of Terminalia catappa L. Leaves Extract on the Water Quality Properties, Survival and Blood Profile of Ornamental Fish (Betta sp) Cultured.
    Biosaintifika: Journal of Biology & Biology Education, 8(2), 240–247.
    DOI: https://doi.org/10.15294/biosaintifika.v8i2.6519
  3. Chansue, N., & Assawawongkasem, N. (2008).
    The in vitro Antibacterial Activity and Ornamental Fish Toxicity of the Water Extract of Indian Almond Leaves (Terminalia catappa Linn.).
    KKU Veterinary Journal, 18(1), 36–45.

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