カタッパの葉はベタの水質を良くする?論文から考えるブラックウォーターと水質管理
Share
ベタにマジックリーフやブラックウォーターを使う理由として、よく言われることがあります。
「カタッパの葉は水質を良くする」
ベタ飼育をしている方なら、一度は聞いたことがあるかもしれません。
しかし、初心者の方にとっては、少し分かりにくい言葉でもあります。
- 水質を良くするとは、どういう意味なの?
- ブラックウォーターにすれば水換えしなくていいの?
- 茶色い水なのに、本当にきれいな水なの?
- アンモニアや亜硝酸も減るの?
このような疑問を持つのは自然なことです。
結論から言うと、カタッパの葉やブラックウォーターは、ベタの水環境づくりに役立つ可能性があります。
実際に、カタッパ葉抽出液をベタの飼育水に加えた研究では、水質改善が報告されています。
ただし、とても大切な注意点があります。
ブラックウォーターは、水換えの代わりにはなりません。
カタッパの葉を使っていても、餌の食べ残しやフンがあればアンモニアは発生します。水量が少なければ、水質は変わりやすくなります。
つまり、カタッパの葉は「水質管理をしなくてよくする魔法の葉」ではありません。
正しくは、水換えや日々の観察と組み合わせて、ベタが落ち着きやすい水環境づくりをサポートするものと考えるのが現実的です。
この記事では、論文や水質資料をもとに、カタッパの葉とベタの水質管理について、初心者の方にもわかりやすく整理していきます。
水質が良いとはどういうことか

まず、「水質が良い」とは何を意味するのかを整理します。
ベタ飼育では、水が透明で見た目がきれいだと「水質が良い」と感じるかもしれません。
しかし、見た目だけでは本当の水質は分かりません。
透明に見えていても、アンモニアや亜硝酸がたまっていることがあります。
逆に、ブラックウォーターのように茶色く見える水でも、それが植物由来の色であれば、単純に汚れとは言えません。
ベタの水質を考える時に大切なのは、見た目だけでなく、次のような要素です。
- アンモニアが増えすぎていないか
- 亜硝酸が出ていないか
- pHが急変していないか
- 水温が安定しているか
- 水のにおいや白濁がないか
- 餌の食べ残しやフンがたまっていないか
- ベタが普段通り泳ぎ、餌を食べているか
つまり、水質とは「透明か茶色か」だけの話ではありません。
ベタにとって負担が少なく、安定して過ごせる水であることが重要です。
ブラックウォーターを使う時も、この考え方が大切になります。
茶色い水は汚れた水なのか

初心者の方がブラックウォーターを見て、まず不安になるのが色です。
透明だった水が茶色くなると、「汚れてしまったのでは?」と感じるかもしれません。
しかし、カタッパの葉による茶色い色は、植物由来成分が水に溶け出したものです。
お茶を入れると水が茶色くなるのと少し似ています。
カタッパの葉には、タンニン、フェノール類、フラボノイドなどの植物由来成分が含まれるとされています。
これらの成分が水に出ることで、ブラックウォーター特有の色になります。
そのため、茶色い水そのものが、すぐに汚れた水という意味ではありません。
ただし、ここで勘違いしてはいけないことがあります。
茶色い水だから安心、という意味でもありません。
ブラックウォーターにしていても、餌の食べ残し、フン、古くなった有機物がたまれば、水質は悪化します。
つまり、ブラックウォーターでは、次の2つを分けて考える必要があります。
- 植物由来成分による茶色い色
- 汚れや有機物の蓄積による水質悪化
この2つを混同しないことが、ブラックウォーターを安全に使う第一歩です。
カタッパ葉抽出液で水質改善が報告された研究

カタッパの葉とベタの水質について考えるうえで、特に参考になるのが、Malawaらの2022年の研究です。
この研究では、オスのベタを対象に、カタッパ葉抽出液を異なる濃度で飼育水に加え、8週間にわたって影響を調べています。
比較された濃度は、0.125 g/L、0.25 g/L、0.5 g/L、1.0 g/Lです。
また、抽出液を入れない対照群も用意され、水質、成長、餌の利用、皮膚色、泡巣形成、消化酵素、筋肉の品質、体成分、血液指標などが確認されました。
この研究では、カタッパ葉抽出液の使用によって、水質改善や泡巣形成の増加が報告されています。
特に、0.25 g/Lのカタッパ葉抽出液では、成長や血液化学に一貫した悪影響が見られず、水質改善や泡巣形成の増加が示されています。
ここで重要なのは、研究が単に「水が茶色くなったかどうか」を見たものではないということです。
ベタの体への影響や飼育水の変化を、複数の項目から調べています。
このことから、カタッパ葉抽出液は、一定の条件下でベタの水環境に良い方向の変化を与える可能性があると考えられます。
ただし、研究条件と家庭水槽は違います。
家庭の水槽では、水量、餌の量、換水頻度、フィルターの有無、水温、個体差などが大きく違います。
そのため、論文の結果を「カタッパの葉を入れれば水換え不要」と解釈してはいけません。
正しくは、カタッパ葉抽出液には水環境づくりに役立つ可能性があるが、家庭では基本の水質管理と一緒に使う必要があるということです。
Betta sp.で水質・生存率・血液指標を調べた研究

もうひとつ参考になるのが、Nugrohoらの2016年の研究です。
この研究では、Betta sp.を対象に、カタッパ葉抽出液を異なる濃度で使い、水質、生存率、血液指標への影響を調べています。
比較された濃度は、0、125、250、375、500、625 ppmです。
研究では、30日間にわたって飼育が行われ、水温、溶存酸素、pHなども確認されています。
また、カタッパ葉抽出液の植物化学成分として、サポニン、トリテルペノイド、キノン、フェノール、タンニン、フラボノイドなどが確認されたとされています。
この研究では、一定の濃度以上で生存率や赤血球、白血球、ヘモグロビンなどに良い影響が示唆されています。
水質の観点から見ても、カタッパ葉抽出液がBetta sp.の飼育環境に影響を与える可能性があることが分かります。
ただし、この研究も管理された条件で行われたものです。
家庭の水槽では、同じように結果が出るとは限りません。
特に、小型水槽やフィルターなしの環境では、餌の量や水換え頻度によって水質が大きく変わります。
そのため、論文の結果は「カタッパ葉には水環境に影響する可能性がある」と考えるための根拠として使い、家庭では日々の管理を続けることが大切です。
ちなみに、サカタのベタ ベタ発酵水はこのような研究結果を基に含量を設定しており、使用目安いで使っていただくと、簡単にベタに適したブラックウォーターを作ることができます。
ベタ飼育で特に注意したいアンモニア(NH3)と亜硝酸

ベタの水質管理で特に注意したいのが、アンモニアと亜硝酸です。
どちらも、透明な水の中でも発生していることがあります。
つまり、水が見た目できれいに見えていても、ベタにとって安全とは限りません。
アンモニアは、ベタの排泄、餌の食べ残し、フンなどから発生します。
アンモニアには、主に次の2つの形があります。
- NH3:毒性が強い非イオン化アンモニア
- NH4+:比較的毒性が低いアンモニウムイオン
ベタにとって特に注意したいのは、NH3です。
NH3は魚にとって毒性が強く、少量でもベタに負担をかける可能性があります。
そして重要なのは、pHが高くなるほど、毒性の強いNH3の割合が増えやすくなるという点です。特に、pH7以上の水でベタを飼っている場合は、アンモニアの中でもNH3に注意した方が良いです。さらに、水温が高いほどNH3の割合は増えやすくなります。
そのため、夏場や高水温の時期、小型水槽、餌を多く与えている水槽では、アンモニア管理がとても重要になります。
サカタのベタでも、3L前後の小型ベアタンクや500mlのような超小型容器では、数日でアンモニアが上がりやすいことを確認しています。
水量が少ないほど、少しの餌やフンでも水質が変わりやすくなります。
もうひとつ注意したいのが、亜硝酸です。
亜硝酸は、アンモニアがバクテリアによって分解される途中で発生します。
フィルターを使っている水槽や、立ち上げ途中の水槽では、アンモニアが下がってきた後に亜硝酸が出ることがあります。
亜硝酸は、魚の体内で酸素の運搬に影響を与えることがあり、ベタにとって危険な水質悪化のサインです。
つまり、ベタ飼育では、次のように考えると分かりやすいです。
- pH7以上の水では、アンモニアのNH3に特に注意する
- 水槽の立ち上げ中や小型水槽では、亜硝酸にも注意する
- 透明な水でも、アンモニアや亜硝酸が出ていることがある
- ブラックウォーターにしていても、アンモニアや亜硝酸は発生する
ブラックウォーターは、ベタが落ち着きやすい水環境づくりをサポートするものです。
しかし、アンモニアや亜硝酸を完全になくすものではありません。
カタッパの葉やベタ発酵水を使っている場合でも、餌の量、水換え、底の汚れ、ベタの様子は必ず確認する必要があります。
特に、次のような場合は水質悪化に注意してください。
- 餌の食べ残しがある
- フンが底にたまっている
- 水量が少ない
- 水温が高い
- pHが7以上ある
- 水槽を立ち上げたばかり
- ベタの餌食いが落ちた
- 呼吸が荒い、底でじっとしている
ベタの水質管理では、ブラックウォーターを使うかどうかに関係なく、アンモニアと亜硝酸を意識することが大切です。
特に小型水槽では、水が悪くなるスピードが早いため、「見た目がきれいだから大丈夫」と判断せず、定期的な水換えと日々の観察を続けましょう。
関連記事
ベタの水替え完全ガイド|水道水でも大丈夫?頻度・カルキ抜き・ストレス対策まで徹底解説アンモニアや亜硝酸をためないためには、日々の水換え管理がとても大切です。水換えの基本を詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
ブラックウォーターでpHは大きく下がるのか

カタッパの葉やブラックウォーターを使うと、pHが下がるのではないかと心配する方もいます。
たしかに、植物由来成分が水に溶け出すことで、pHに影響が出る場合があります。
しかし、家庭の水槽でどれくらいpHが変わるかは、水道水の性質、使用量、水量、底床、換水頻度などによって変わります。
そのため、「カタッパの葉を入れると必ず大きくpHが下がる」とは言えません。
ベタにとって大切なのは、pHの数値そのものだけでなく、急な変化を避けることです。
急激なpH変化は、ベタに負担をかける可能性があります。
サカタのベタでは、ブラックウォーターを「pHを大きく下げるためのもの」としてではなく、ベタが落ち着きやすい水環境づくりの補助として考えています。
(サカタのベタ ベタ発酵水を使用目安で使った場合、元の水道水(タイの水道水)のpHが7後半の場合、pHは2-3くらい下がる傾向があります。pHが7前後の日本の水道水では、これより変化幅が低い場合もあります。)
pHが気になる場合は、pH計や試験紙で確認し、急な変化が起きていないかを見ると安心です。
水換えとブラックウォーターはセットで考える

ブラックウォーターを使う時に、最も大切な考え方があります。
それは、ブラックウォーターと水換えは別の役割を持っているということです。
ブラックウォーターは、カタッパの葉などの植物由来成分によって、ベタが落ち着きやすい環境づくりをサポートします。
一方、水換えは、アンモニア、亜硝酸、余分な有機物などを水槽外へ出すために必要です。
この2つは、どちらか一方で十分という関係ではありません。
ブラックウォーターを使っていても、水換えは必要です。
水換えをしていても、ベタが落ち着きにくい場合には、ブラックウォーターや隠れ家、水草、背景などの環境づくりが役立つことがあります。
つまり、家庭のベタ飼育では、次のように考えるのが良いです。
- 水換え:水の汚れを外に出す基本管理
- ブラックウォーター:ベタが落ち着きやすい環境づくりの補助
- 観察:そのベタに合っているかを確認する習慣
この3つを組み合わせることで、ベタにとってより安定した環境を作りやすくなります。
カタッパの葉を使う時に見ておきたいポイント

カタッパの葉やブラックウォーターを使う時は、難しい数値だけを見る必要はありません。
家庭では、まずベタと水槽の様子をよく観察することが大切です。
次のような点を確認しましょう。
- ベタが普段通り泳いでいるか
- 餌をしっかり食べているか
- ヒレを閉じていないか
- 呼吸が荒くないか
- 水に異臭がないか
- 白く濁っていないか
- 底に食べ残しやフンがたまりすぎていないか
ブラックウォーターは茶色い水なので、透明な水よりも底の汚れが見えにくい場合があります。
そのため、スポイトなどで底の汚れを確認しながら管理すると安心です。
特に小型水槽では、水量が少ないため、少しの汚れでも水質が変わりやすくなります。
ブラックウォーターを使っている時ほど、見た目の色だけに頼らず、ベタの様子と水槽内の汚れを確認することが大切です。
サカタのベタ ベタ発酵水について

サカタのベタでは、ベタのためのブラックウォーターづくりとして、サカタのベタ ベタ発酵水をご用意しています。
ベタ発酵水は、カタッパの葉を中心に、アカシア・カテチュー樹皮、ヤシの雄花、マンゴスチン皮、天然塩などを使ったティーバッグ式の商品です。
サカタのベタ ベタ発酵水は、ベタの水槽で使いやすい、適度な濃さのブラックウォーターを作りやすいように設計されています。
使い方は、ティーバッグを水に入れ、約2時間抽出してから使用します。
葉をそのまま水槽に入れる方法もありますが、ティーバッグ式には次のような使いやすさがあります。
- 抽出してから使える
- 水槽内に葉くずが散らばりにくい
- 小型水槽でも使いやすい
- 導入直後や水換え後にも使いやすい
- 適度なブラックウォーター環境を作りやすい
サカタのベタでは、ベタ発酵水を水換え不要にする商品とは考えていません。
また、病気を治すための商品でもありません。
ベタ発酵水は、あくまでベタが落ち着きやすいブラックウォーター環境づくりをサポートする商品です。
水温管理、水換え、餌の量、日々の観察と組み合わせて使うことで、ベタにやさしい飼育環境づくりにつながります。
初心者が誤解しやすいポイント

茶色い水なら安全だと思ってしまう
ブラックウォーターの茶色は植物由来の色です。
しかし、茶色いから水質が必ず良いという意味ではありません。
餌の食べ残しやフンがたまっていないかは必ず確認しましょう。
透明な水の方が必ず良いと思ってしまう
透明な水は見た目にはきれいですが、アンモニアや亜硝酸が見えるわけではありません。
透明でも水質が悪化していることはあります。
ブラックウォーターなら水換えがいらないと思ってしまう
これは大きな誤解です。
ブラックウォーターにしていても、アンモニアや亜硝酸は発生します。
水換えは必ず必要です。
病気対策として使いすぎてしまう
カタッパ葉抽出液には、抗菌性や血液指標に関する研究があります。
しかし、家庭水槽で病気を治せると断定することはできません。
病気が疑われる時は、水質、水温、症状を確認し、必要に応じて適切な対応を考える必要があります。
まとめ:カタッパの葉は水質管理の代わりではなく、環境づくりの補助
カタッパの葉やブラックウォーターは、ベタの水環境づくりに役立つ可能性があります。
実際に、ベタを対象にした研究では、カタッパ葉抽出液による水質改善や泡巣形成の増加が報告されています。
また、Betta sp.を対象にした研究では、水質、生存率、血液指標への影響も調べられています。
ただし、ブラックウォーターは水換えの代わりではありません。
アンモニアや亜硝酸は、ブラックウォーターにしていても発生します。
そのため、家庭のベタ飼育では、次の考え方が大切です。
- 茶色い水は必ずしも汚れではない
- でも、茶色いから安全とは限らない
- ブラックウォーターは水換えの代わりではない
- 水質管理と日々の観察は必要
- カタッパの葉は、ベタが落ち着きやすい環境づくりの補助として考える
サカタのベタ ベタ発酵水も、同じ考え方です。
適度な濃さのブラックウォーターを作りやすいように設計されていますが、水換え不要にするものではありません。
ベタにとって本当に大切なのは、水温、水質、餌の量、観察、そして落ち着ける環境です。
ブラックウォーターは、その中のひとつの選択肢です。
サカタのベタでは、これからも論文や研究をもとに、初心者の方にもわかりやすく、ベタにとって本当にやさしい飼育環境を考えていきます。
サカタのベタはベタ発酵水はこちら
参考文献
- Malawa, S., Nuntapong, N., Suanyuk, N., & Thongprajukaew, K. (2022).
Addition of different concentrations of Indian almond (Terminalia catappa) leaf extract to aquarium water resulted in improved water quality and increased bubble nest formation by male Siamese fighting fish (Betta splendens) without having any consistent negative effects on growth metrics and blood chemistry.
Aquaculture International, 30, 3269–3288.
DOI: 10.1007/s10499-022-00960-1
- Nugroho, R. A., Manurung, H., Saraswati, D., Ladyescha, D., & Nur, F. M. (2016).
The Effects of Terminalia catappa L. Leaves Extract on the Water Quality Properties, Survival and Blood Profile of Ornamental Fish (Betta sp) Cultured.
Biosaintifika: Journal of Biology & Biology Education, 8(2), 240–247.
DOI: 10.15294/biosaintifika.v8i2.6519 - Francis-Floyd, R., Watson, C., Petty, D., & Pouder, D. B. (updated).
Ammonia in Aquatic Systems.
UF/IFAS Extension, FA031. - Wang, X., et al. (2024).
Recent advances of Terminalia catappa and its application in fish culture: A review.
Reviews in Aquaculture.
DOI: 10.1111/raq.12920
関連記事
- ベタのブラックウォーターにサカタのベタがおすすめ!いつ?必要?何が良いの?口コミ
- カタッパの葉はベタの泡巣づくりに関係する?論文から考えるブラックウォーターと繁殖行動
- ベタとブラックウォーターの相性が良いと言われる理由|論文から考える“落ち着きやすい水”の作り方
- 放置してしまったベタ水槽|ベタが衰弱、病気の前にブラックウォーターでケアがおすすめ【初心者向けの方法】
- ベタの体調不良とは?崩れる前に気づくための観察ポイントとブラックウォーターの考え方
- ベタ水槽はブラックウォーターが良い!その理由と作り方を徹底解説
- ベタにマジックリーフは本当に必要?論文から見るカタッパの葉とブラックウォーターの役割
- カタッパの葉はベタに安全?論文の血液指標から考えるブラックウォーターの使い方
- ブラックウォーターは濃いほど良い?論文から見る適量の考え方