カタッパ葉に含まれるタンニンとは?ベタ飼育で期待される働きを論文から考える

カタッパ葉に含まれるタンニンとは?ベタ飼育で期待される働きを論文から考える

ベタにマジックリーフ(カタッパの葉)をブラックウォーターに使う時、よく出てくる言葉があります。

タンニンです。

カタッパの葉を水に入れると、水が茶色く色づきます。

この茶色い水を見ると、初心者の方は「水が汚れたのでは?」と不安になるかもしれません。

しかし、カタッパの葉による茶色い色は、植物由来成分が水に溶け出したものです。その代表的な成分として、タンニン、フェノール類、フラボノイドなどが挙げられます。

では、タンニンとは何なのでしょうか。

そして、ベタ飼育ではどのように考えればよいのでしょうか。

この記事では、カタッパ葉に含まれるタンニンについて、初心者の方にもわかりやすく整理します。

結論から言うと、タンニンは、ブラックウォーターの色や植物由来の環境づくりを考えるうえで重要な成分のひとつです。

ただし、タンニンだけでカタッパの葉の働きをすべて説明できるわけではありません。

カタッパの葉には、タンニン以外にもフェノール類、フラボノイド、サポニン、トリテルペノイドなど複数の成分が含まれると報告されています。

そのため、ベタ飼育では「タンニンだけが効いている」と考えるのではなく、カタッパ葉全体の植物由来成分が水環境づくりに関わっている可能性があると考える方が自然です。

また、タンニンやカタッパ葉抽出物に関する研究があるからといって、「病気が治る」「水換えがいらない」とは言えません。

サカタのベタでは、カタッパの葉やブラックウォーターを薬ではなく、ベタが落ち着きやすく、体調を整えやすい水環境づくりの補助として考えています。


タンニンとは何か?

タンニンとは、植物に含まれるポリフェノールの一種です。

お茶、柿、ワイン、木の皮、落ち葉などにも関係する成分として知られています。

身近な例でいうと、濃いお茶を飲んだ時に感じる渋みがあります。

あの渋みには、タンニンを含むポリフェノール類が関係しています。

カタッパの葉を水に入れると、葉から植物由来成分が溶け出し、水が薄い茶色から濃い茶色に変わります。

この色づきには、タンニンやフェノール類などが関係すると考えられます。

ここで大切なのは、茶色い色そのものは、すぐに汚れを意味するわけではないということです。

お茶の色が汚れではないように、カタッパの葉から出た茶色い色も、植物由来成分によるものです。

ただし、茶色いから安全、という意味でもありません。

餌の食べ残しやフン、古くなった有機物がたまれば、ブラックウォーターでも水質は悪化します。

つまり、タンニンを考える時は、次のように分けて考える必要があります。

  • 植物由来成分による茶色い色
  • 餌の残りやフンによる水質悪化

この2つは、見た目だけでは混同しやすいですが、意味はまったく違います。


カタッパ葉にはタンニン以外の成分も含まれる

カタッパの葉について調べる時、「タンニン」という言葉がよく目立ちます。

しかし、カタッパ葉に含まれる成分はタンニンだけではありません。

Nugrohoらの2016年の研究では、Terminalia catappa leaves extract、つまりカタッパ葉抽出液の植物化学成分が調べられています。

その研究では、次のような成分が検出されたと報告されています。

  • サポニン
  • トリテルペノイド
  • キノン
  • フェノール
  • タンニン
  • フラボノイド

このように、カタッパの葉には複数の植物由来成分が含まれます。

そのため、ブラックウォーターの働きを考える時に、「タンニンだけがすべて」と考えるのは少し単純すぎます。

タンニンは重要な成分のひとつです。

しかし、カタッパ葉全体としては、フェノール類やフラボノイドなども含めた複数の成分が、水の色、魚への影響、水環境づくりに関係している可能性があります。

初心者向けに言えば、カタッパの葉はタンニンだけの素材ではなく、複数の植物由来成分を含む自然素材と考えるとわかりやすいです。


タンニンとブラックウォーターの色

ブラックウォーターの特徴は、やはり茶色い色です。

透明な水が茶色くなると、見た目の印象は大きく変わります。

この色の変化は、ベタ飼育でよく誤解されるポイントです。

初心者の方は、茶色くなった水を見て「水が悪くなった」と感じるかもしれません。

しかし、カタッパの葉によって水が茶色くなるのは、植物由来成分が水に溶け出しているためです。

これは、汚れが増えて茶色くなっている状態とは違います。

ただし、見た目だけで水質を判断できないことも忘れてはいけません。

ブラックウォーターは色がついているため、底の汚れや餌の残りが見えにくくなることがあります。

そのため、ブラックウォーターを使う時は、透明な水の時以上に、次の点を確認することが大切です。

  • 餌の食べ残しがないか
  • フンが底にたまりすぎていないか
  • 水に異臭がないか
  • 白く濁っていないか
  • ベタが普段通り泳いでいるか
  • 餌食いが落ちていないか

タンニンによる色づきは、ブラックウォーターの自然な特徴です。

しかし、色だけで水質を判断しないことが大切です。


タンニンには抗菌性があるのか

カタッパの葉について調べていると、「抗菌作用」という言葉を見ることがあります。

この点については、慎重に考える必要があります。

Chansue and Assawawongkasemの研究では、カタッパ葉の水抽出物について、タンニン濃度、魚病由来細菌に対するin vitro抗菌活性、観賞魚への毒性が調べられています。

in vitroとは、試験管内や培地上など、生きた魚の体内ではない実験条件のことです。

この研究では、カタッパ葉水抽出物に抗菌活性が示されたと報告されています。

この結果は、カタッパの葉に含まれる成分を考えるうえで、とても興味深いものです。

ただし、ここで大切なのは、in vitroで抗菌活性があることと、家庭水槽で病気が治ることは同じではないという点です。

培地上で細菌の増殖を抑えたとしても、家庭の水槽には魚の体力、水質、餌、温度、底の汚れ、他の微生物など多くの要素があります。

そのため、タンニンやカタッパ葉抽出物について抗菌性の研究があるからといって、次のように言うことはできません。

  • マジックリーフで病気が治る
  • ブラックウォーターは薬の代わりになる
  • ベタ発酵水を入れれば病気にならない
  • 尾ぐされ病や松かさ病に効く

これらは言いすぎです。

サカタのベタでは、タンニンやカタッパ葉の研究を参考にしつつも、ブラックウォーターを薬ではなく、水環境づくりの補助として考えています。


ベタを対象にしたカタッパ葉抽出液の研究

タンニンやカタッパ葉の話を、ベタ飼育に近いところで考えるなら、Malawaらの2022年の研究が参考になります。

この研究では、オスのベタを対象に、カタッパ葉抽出液を異なる濃度で飼育水に加え、8週間にわたって影響を調べています。

比較された濃度は、0.125 g/L、0.25 g/L、0.5 g/L、1.0 g/Lです。

さらに、抽出液を入れない対照群も用意され、水質、成長、餌の利用、皮膚色、泡巣形成、消化酵素、筋肉の品質、体成分、血液指標などが確認されました。

この研究では、特に0.25 g/Lのカタッパ葉抽出液で、成長や血液化学に一貫した悪影響が見られず、水質改善や泡巣形成の増加が報告されています。

この結果は、カタッパ葉抽出液がベタの水環境づくりに役立つ可能性を示すものです。

ただし、この研究は「タンニンだけの効果」を調べたものではありません。

カタッパ葉抽出液としての影響を見た研究です。

つまり、家庭のベタ飼育で考える時も、タンニン単体ではなく、カタッパ葉由来の複数成分を含むブラックウォーターとして考える方が自然です。

そして、研究結果を家庭水槽にそのまま当てはめることも避けるべきです。

家庭では、水量、換水頻度、餌の量、フィルターの有無、水温、個体差がそれぞれ違います。

論文は、あくまで考え方の土台として使うのが大切です。

ですが、サカタのベタ ベタ発酵水は、これらの研究結果に基づいた含量で設計しており、使用目安通りに使用すれば、ベタに良い濃度でブラックウォーターを簡単に作ることができます。


タンニンは水換えの代わりにはならない

タンニンやブラックウォーターについて説明していると、時々「水が良くなるなら、水換えを減らしてもいいのでは?」と考える方がいます。

しかし、これは危険な考え方です。

カタッパの葉やブラックウォーターは、水環境づくりに役立つ可能性があります。

しかし、アンモニアや亜硝酸を完全になくすものではありません。

ベタは生きているだけでアンモニアを出します。

餌の食べ残しやフンからもアンモニアは発生します。

水槽が立ち上がる途中では、亜硝酸にも注意が必要です。

つまり、ブラックウォーターにしていても、次の管理は必要です。

  • 定期的な水換え
  • 餌の与えすぎを防ぐ
  • 食べ残しを放置しない
  • 底の汚れを確認する
  • 水温を安定させる
  • ベタの餌食い・泳ぎ方を見る

特に、pH7以上の水でベタを飼っている場合は、毒性の強い非イオン化アンモニアであるNH3に注意が必要です。

また、アンモニアだけでなく、亜硝酸もベタに負担をかける水質悪化のサインです。

ブラックウォーターを使っていても、アンモニアや亜硝酸の管理は必要です。

水換えの基本について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事

ベタの水替え完全ガイド|水道水でも大丈夫?頻度・カルキ抜き・ストレス対策まで徹底解説

アンモニアや亜硝酸をためないためには、日々の水換え管理がとても大切です。水換えの基本を詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。


タンニンを過信しないことが大切

タンニンは、カタッパの葉やブラックウォーターを理解するうえで重要な成分のひとつです。

しかし、タンニンという言葉だけが一人歩きすると、誤解が生まれやすくなります。

たとえば、次のような考え方は避けた方が良いです。

  • タンニンがあるから病気が治る
  • タンニンがあるから水換えしなくていい
  • 色が濃いほど効果が高い
  • 自然素材だから多く入れても問題ない
  • タンニンだけがカタッパ葉の働きである

これらは、初心者がつまずきやすいポイントです。

実際には、カタッパの葉にはタンニン以外にも複数の植物由来成分が含まれます。

また、ブラックウォーターは水換えや水質管理の代わりにはなりません。

大切なのは、タンニンを「すごい成分」として単独で見るのではなく、ベタが落ち着きやすい水環境づくりを考えるための要素のひとつとして見ることです。


サカタのベタ ベタ発酵水について

サカタのベタでは、ベタのためのブラックウォーターづくりとして、サカタのベタ ベタ発酵水をご用意しています。

ベタ発酵水は、カタッパの葉を中心に、アカシア・カテチュー樹皮、ヤシの雄花、マンゴスチン皮、天然塩などを使ったティーバッグ式の商品です。

サカタのベタ ベタ発酵水は、ベタの水槽で使いやすい、適度な濃さのブラックウォーターを作りやすいように設計されています。

使い方は、ティーバッグを水に入れ、約2時間抽出してから使用します。

カタッパの葉をそのまま水槽に入れる方法もありますが、ティーバッグ式には次のような使いやすさがあります。

  • 抽出してから使える
  • 水槽内に葉くずが散らばりにくい
  • 小型水槽でも使いやすい
  • 導入直後や水換え後にも使いやすい
  • 適度なブラックウォーター環境を作りやすい

ベタ発酵水は、タンニンだけを目的にした商品ではありません。

カタッパの葉を中心に、複数の植物素材を組み合わせることで、ベタが落ち着きやすいブラックウォーター環境づくりをサポートします。

ただし、サカタのベタでは、ベタ発酵水を病気を治すための商品とは考えていません。

また、水換え不要にする商品でもありません。

あくまで、ベタが落ち着きやすい水環境づくりをサポートする商品として考えています。

水温管理、水換え、餌の量、日々の観察と組み合わせて使うことで、ベタにやさしい飼育環境づくりにつながります。


初心者が覚えておきたいポイント

カタッパの葉やタンニンについて、初心者の方がまず覚えておきたいのは次のポイントです。

  • タンニンは植物由来成分のひとつ
  • ブラックウォーターの茶色い色に関係する
  • カタッパ葉にはタンニン以外の成分も含まれる
  • 抗菌性を調べた研究はあるが、薬ではない
  • 茶色い水は汚れとは限らない
  • ただし、水質確認と水換えは必要
  • pH7以上ではNH3にも注意
  • アンモニアだけでなく亜硝酸にも注意

このように整理すると、タンニンを怖がりすぎる必要も、過信する必要もありません。

タンニンは、ベタのブラックウォーター環境を考えるうえで大切な要素のひとつです。

しかし、本当に大切なのは、タンニンそのものよりも、ベタが落ち着いて過ごせる水槽環境を作ることです。


まとめ:タンニンは重要。でも、万能ではない

カタッパの葉に含まれるタンニンは、ブラックウォーターを理解するうえで重要な成分のひとつです。

タンニンやフェノール類などの植物由来成分によって、水は茶色く色づきます。

この茶色い色は、すぐに汚れを意味するものではありません。

また、カタッパ葉抽出物については、抗菌性、水質、生存率、血液指標、泡巣形成などに関する研究があります。

これらの研究は、カタッパの葉がベタ飼育で使われてきた理由を考えるうえで、とても参考になります。

ただし、タンニンは万能ではありません。

病気を治す薬ではありませんし、水換えの代わりにもなりません。

ベタ飼育で大切なのは、タンニンだけに注目することではなく、次のような基本管理を続けることです。

  • 水温を安定させる
  • 餌を与えすぎない
  • 水換えを続ける
  • アンモニアと亜硝酸に注意する
  • ベタの様子を毎日観察する
  • 落ち着ける環境を作る

カタッパの葉やベタ発酵水は、その基本管理と組み合わせることで、ベタが落ち着きやすいブラックウォーター環境づくりを支えてくれます。

サカタのベタでは、これからも論文や研究をもとに、初心者の方にもわかりやすく、ベタにとって本当にやさしい飼育環境を考えていきます。


サカタのベタはベタ発酵水はこちら


参考文献

  1. Chung, K. T., Wong, T. Y., Wei, C. I., Huang, Y. W., & Lin, Y. (1998).
    Tannins and human health: a review.
    Critical Reviews in Food Science and Nutrition, 38(6), 421–464.
    DOI: 10.1080/10408699891274273
  2. Nugroho, R. A., Manurung, H., Saraswati, D., Ladyescha, D., & Nur, F. M. (2016).
    The Effects of Terminalia catappa L. Leaves Extract on the Water Quality Properties, Survival and Blood Profile of Ornamental Fish (Betta sp) Cultured.
    Biosaintifika: Journal of Biology & Biology Education, 8(2), 240–247.
    DOI: 10.15294/biosaintifika.v8i2.6519
  3. Chansue, N., & Assawawongkasem, N. (2008).
    The in vitro Antibacterial Activity and Ornamental Fish Toxicity of the Water Extract of Indian Almond Leaves (Terminalia catappa Linn.).
    KKU Veterinary Journal, 18(1), 36–45.
  4. Malawa, S., Nuntapong, N., Suanyuk, N., & Thongprajukaew, K. (2022).
    Addition of different concentrations of Indian almond (Terminalia catappa) leaf extract to aquarium water resulted in improved water quality and increased bubble nest formation by male Siamese fighting fish (Betta splendens) without having any consistent negative effects on growth metrics and blood chemistry.
    Aquaculture International, 30, 3269–3288.
    DOI: 10.1007/s10499-022-00960-1
  5. Wang, X., et al. (2024).
    Recent advances of Terminalia catappa and its application in fish culture: A review.
    Reviews in Aquaculture.
    DOI: 10.1111/raq.12920

関連記事

ブログに戻る