ベタの餌は1日何回?与える量・食べ残し・餌抜きを論文から解説
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ベタを飼い始めた時、意外と迷いやすいのが餌の与え方です。
餌を見せるとすぐに近づいてきて、何度でも欲しそうな反応をするベタもいます。
その姿を見ると、つい追加で与えたくなるかもしれません。
一方で、餌を与えすぎると、水槽の底に食べ残しがたまり、水質悪化にもつながります。
初心者の方からは、次のような疑問がよく聞かれます。
- ベタの餌は1日何回がよいの?
- 1回に何粒与えればよい?
- 朝と夜の2回に分けた方がよい?
- 欲しがるだけ与えても大丈夫?
- 餌抜きの日は必要?
- 食べ残しを放置するとどうなる?
結論から言うと、家庭で成魚のベタを飼う場合は、1日1〜2回を基本にして、毎回すぐに食べ切れる少量を与える方法が管理しやすいでしょう。
ただし、「1日2回なら必ず健康」「1回なら少なすぎる」と単純に決められるものではありません。
ベタの年齢、体格、水温、餌の種類、粒の大きさ、活動量によって、必要な量は変わります。
また、成長期の稚魚と、体が完成した成魚では、餌の必要量や適した回数も同じではありません。
この記事では、ベタの給餌回数を調べた研究と、成魚が餌を食べた後の消化酵素を調べた研究をもとに、家庭で実践しやすい餌の与え方を解説します。
回数だけでは適切な餌の量を決められない

ベタの餌について調べると、「1日1回」「1日2回」「朝晩に3粒ずつ」など、さまざまな説明が見つかります。
しかし、回数や粒数だけでは、適切な給餌量を正確に決めることはできません。
同じ1粒でも、商品によって大きさや重さが異なるからです。
小さなマイクロペレットと、大きめのベタ用ペレットでは、1粒に含まれる餌の量が大きく違います。
さらに、同じ種類の餌でも、ベタの体格によって適量は変わります。
そのため、「必ず何粒」と決めるよりも、次の3点を見ながら調整する方が分かりやすいです。
- ベタがすぐに食べ切れるか
- 食後にお腹が不自然に膨らんでいないか
- 水槽の底に食べ残しが落ちていないか
初心者の方は、最初からまとめて餌を入れず、1粒ずつ与えると確認しやすくなります。
ベタが飲み込んだことを確認してから、次の1粒を与えます。
反応が鈍くなったり、口に入れても吐き出したりする場合は、それ以上追加しない方がよいでしょう。
稚魚の給餌回数を比較した2020年の研究

ベタの餌の回数について参考になるのが、Norazmi-Lokmanらが2020年に発表した研究です。
この研究では、生後30日ほどのベタの稚魚を使い、給餌回数による成長の違いを60日間調べました。
比較したのは、次の4グループです。
- 1日1回
- 1日2回
- 1日3回
- 1日4回
餌には、観賞魚用の小さな人工飼料が使われました。
研究では、体重、体長、餌の摂取量、生存数などが記録され、実験終了後に成長率や餌の利用効率が比較されています。
平均値では、1日3回与えたグループの体重と体長の成長率が最も高くなりました。
餌がどれだけ体重増加につながったかを示す餌料効率についても、1日3回のグループが良い値を示しています。
一方、1日4回に増やしても、1日3回より成長が良くなったわけではありません。
この結果から、少なくとも成長期の稚魚では、回数を増やせば増やすほど良いとは限らないことが分かります。
成長に必要な栄養を複数回に分けて与えることには意味がありますが、必要以上に回数を増やしても、成長へ効率よく使われるとは限りません。
この研究を成魚へそのまま当てはめない

ここで注意したいのは、この研究で使われたのが生後30日ほどの稚魚だったことです。
稚魚は体を成長させている途中であり、体が完成した成魚よりも、体重に対して多くの栄養を必要とします。
また、研究では複数の稚魚を同じ実験水槽で飼育していました。
家庭でオスの成魚を1匹ずつ飼う環境とは、年齢も飼育方法も異なります。
したがって、この結果を見て、家庭の成魚にも「1日3回が一番よい」と断定することはできません。
この研究から家庭飼育へ取り入れられるのは、次の考え方です。
- 成長期の稚魚は、成魚より細かく分けて与える必要がある
- 回数を増やせば、必ず成長が良くなるわけではない
- 給餌回数だけでなく、1日の総量と食べ残しも重要
成魚は餌を食べた後、どのくらい消化を続ける?

成魚の餌の回数を考えるうえで参考になるのが、Hahorらが2023年に発表した研究です。
この研究では、体重約1.6gのオスのベタを24時間絶食させた後、1回餌を与えました。
その後、食後の時間ごとに、消化酵素の活動が調べられています。
調べられたのは、主に次の酵素です。
- タンパク質の消化に関係する酵素
- 脂質の消化に関係する酵素
- 炭水化物の消化に関係する酵素
研究の結果、餌を食べた後の消化酵素の活動は急に終わるのではなく、時間をかけて変化していました。
食後24時間の観察期間を通して、調べられた5種類の消化酵素は、給餌前より高い活動を示しました。
つまり、成魚のベタは、餌を食べ終えた直後だけ消化しているわけではありません。
1回の食事を、その後も長い時間をかけて消化していることが分かります。
フンについては、食後4時間までは確認されませんでした。
確認されたフンのおよそ4分の1は、食後5〜6時間に排出されています。
また、24時間以内にフンをした個体は全体の52.5%でした。
すべての個体が同じ時間に消化や排泄を終えたわけではなく、個体差も見られます。
この研究から分かること
この研究だけで、「成魚は必ず1日1回」「必ず12時間空ける」と決めることはできません。
研究では、給餌回数そのものを比較したのではなく、1回餌を食べた後の消化酵素の変化を調べたからです。
ただし、成魚では1回の食事後も消化活動が長く続くことから、短い間隔で何度も餌を追加する必要性は低いと考えられます。
家庭飼育では、1日1回、または朝と夜の2回に分ける方法が取り入れやすいでしょう。
1日2回にする場合も、1回分をそのまま2回与えるのではありません。
1日分の総量を、朝と夜に分けると考えることが大切です。
家庭の成魚は1日1回と2回のどちらがよい?

成魚のベタでは、1日1回でも、2回に分けても飼育できます。
どちらを選ぶかは、飼育者の生活とベタの状態に合わせて問題ありません。
1日1回が向いている場合
- 毎日同じ時間に観察しながら与えられる
- 食べ残しを減らしたい
- 餌を与えすぎてしまいやすい
- 成長が落ち着いた健康な成魚を飼っている
1日1回でも、必要な量を食べられており、体型や餌食いに問題がなければ、少なすぎるとは限りません。
1日2回が向いている場合
- 1回分を少量ずつに分けたい
- 朝と夜にベタの様子を確認したい
- 一度に多く食べるとお腹が膨らみやすい
- まだ成長途中の若い個体を飼っている
2回に分ける利点は、一度に胃腸へ入る量を少なくしやすいことです。
ただし、朝も夜も満腹になるまで与えてしまうと、1日の総量は簡単に増えてしまいます。
大切なのは、回数ではなく、1日に与える総量です。
ベタが餌を欲しがるなら追加してよい?

ベタは、人が水槽へ近づくと前へ出てきたり、水面付近で待ったりすることがあります。
餌を与えた直後でも、まだ欲しそうに見えることもあります。
しかし、餌へ反応することと、体が追加の栄養を必要としていることは同じではありません。
ベタは、飼育者が近づくことと餌がもらえることを覚えます。
そのため、近づくたびに反応しても、必ず空腹とは限りません。
「まだ欲しそうだから」という理由だけで追加すると、少しずつ過剰給餌になりやすくなります。
追加するか迷った時は、ベタの反応だけでなく、次の点を確認しましょう。
- すでに何粒食べたか
- 食後のお腹が大きく膨らんでいないか
- 餌を口に入れて吐き出していないか
- 底に食べ残しがないか
- 最近、体型が太くなりすぎていないか
餌を欲しがる反応は、ベタを観察する楽しみのひとつです。
ただし、その反応に合わせて際限なく与えるのではなく、飼育者が1日の量を管理する必要があります。
1回に何粒与えればよい?

「ベタには何粒」という質問に、すべての商品へ共通する数字で答えることはできません。
餌によって粒の大きさ、重さ、栄養の濃さが異なるからです。
最初は、次の方法で調整すると分かりやすいです。
- 餌を1粒だけ入れる
- ベタが飲み込むまで確認する
- 飲み込んだら次の1粒を与える
- 反応が鈍くなる前に終える
- 底へ落ちた餌は取り除く
食後のお腹は、少し丸みが出る程度を目安にします。
体の幅を大きく超えるほど膨らんでいる場合は、与えすぎの可能性があります。
また、餌を何度も口に入れて吐き出す場合は、満腹だけでなく、粒が大きすぎる可能性もあります。
その場合は、量を増やすのではなく、より小さな餌を選ぶことも検討しましょう。
食べ残しを放置すると水質が悪くなる

ベタが食べなかった餌は、そのままでは消えません。
底に落ちた餌やフンなどの有機物は、微生物によって分解されていきます。
その過程で発生するのが、アンモニアです。
水槽内のろ過が十分に機能していない場合や、水量の少ない小型水槽では、少量の食べ残しでも水質へ影響しやすくなります。
水が透明に見えていても、アンモニアや亜硝酸が発生していることがあります。
特にpH7以上では、毒性の強い非イオン化アンモニアであるNH3の割合にも注意が必要です。
餌を与えた後は、ベタがすべて食べたかを確認しましょう。
底へ落ちた餌は、スポイトなどで早めに取り除きます。
餌を少なくすることは、ベタに栄養を与えないという意味ではありません。
食べ切れる分だけ与えることが、ベタの体と水質の両方を管理することにつながります。
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餌抜きの日は必要?

ベタの飼育方法では、「週に1日は餌を与えない方がよい」と説明されることがあります。
しかし、健康な成魚に毎週必ず餌抜きの日を作らなければならないと示した、十分な研究があるわけではありません。
普段から食べ切れる適量を管理できている場合は、餌抜きの日を必ず設ける必要はありません。
反対に、日頃から餌を与えすぎている状態を、週1回の絶食だけで調整しようとするのも適切ではありません。
大切なのは、毎日の総量を多くしすぎないことです。
また、餌を1日与え忘れたからといって、翌日に2日分をまとめて与える必要はありません。
翌日は普段の量へ戻します。
病気、便秘が疑われる状態、輸送直後などでは、給餌方法を一時的に変えることがあります。
ただし、すべての体調不良に対して、一律に絶食させればよいわけではありません。
餌を食べない時は、絶食期間だけを考えるのではなく、水温、水質、呼吸、泳ぎ方、体表、フンなども確認しましょう。
餌を食べない時に追加で入れ続けない

ベタが餌を食べないと、心配になって種類を変えながら何度も餌を入れたくなるかもしれません。
しかし、食べない餌を追加しても、水槽内の有機物が増えるだけです。
餌を食べない時は、まず入れた餌を回収します。
そのうえで、次の点を確認してください。
- 水温が大きく下がっていないか
- 水換えが遅れていないか
- アンモニアや亜硝酸が発生していないか
- 呼吸が普段より速くないか
- ヒレを閉じていないか
- 底でじっとしていないか
- 体やヒレに異常がないか
購入直後や移動直後は、環境の変化によってすぐに食べない個体もいます。
食べないからといって、短時間のうちに何種類もの餌を入れ続ける必要はありません。
落ち着ける環境を作り、時間を置いてから少量を試しましょう。
ブラックウォーターでも食べ残しの管理は必要

ブラックウォーターは、植物由来成分によって水が琥珀色や茶色に色づいた環境です。
ベタが落ち着きやすい水環境づくりに使われますが、餌の食べ残しを分解してなくすものではありません。
ブラックウォーターを使っていても、餌やフンからアンモニアは発生します。
また、水に色がついているため、透明な水より底の食べ残しを見つけにくい場合があります。
給餌後は、ベタが食べ切ったかを確認し、スポイトなどで底も確認しましょう。
ブラックウォーターは、水換えや餌の管理の代わりではありません。
適量の給餌、水温管理、水換え、日々の観察と組み合わせて使うものです。
サカタのベタ ベタ発酵水について

サカタのベタでは、ベタが落ち着きやすいブラックウォーター環境づくりをサポートする商品として、サカタのベタ ベタ発酵水をご用意しています。
ベタ発酵水は、カタッパの葉を中心に、アカシア・カテチュー樹皮、ヤシの雄花、マンゴスチン皮、天然塩などを使用したティーバッグ式の商品です。
小型のベタ水槽でも使いやすい、適度な濃さのブラックウォーターを作りやすいように設計されています。

使い方は、ティーバッグを熱湯で約2時間抽出し、その抽出液を飼育水に加えて使用します。
ベタ発酵水は、餌の与えすぎによる水質悪化を防ぐ商品ではありません。
また、アンモニアや亜硝酸をなくしたり、水換えを不要にしたりする商品でもありません。
餌はベタが食べ切れる量を与え、食べ残しは回収してください。
そのうえで、水温、水質、水換え、休める場所などと組み合わせ、ベタが落ち着きやすい水環境づくりにお使いください。
初心者が覚えておきたい餌の与え方

- 成魚は1日1〜2回を基本にする
- 1日2回の場合は、1日分を朝と夜に分ける
- 粒数は、餌の大きさによって変わる
- 最初は1粒ずつ与えて確認する
- 欲しがるだけ与えない
- 食後にお腹が膨らみすぎていないか見る
- 底に落ちた餌は早めに取り除く
- 稚魚と成魚では必要な回数が異なる
- 回数よりも1日の総量が重要
- 水草やブラックウォーターがあっても水換えは必要
まとめ:回数よりも、食べ切れる総量が大切
家庭で成魚のベタを飼う場合は、1日1〜2回を基本にすると管理しやすいでしょう。
ただし、給餌回数だけで適量が決まるわけではありません。
餌の粒の大きさ、ベタの体格、年齢、活動量などによって、必要な量は変わります。
稚魚を対象にした研究では、平均値として1日3回のグループで成長や餌の利用効率が良い傾向が見られました。
しかし、成長期の稚魚を使った結果を、家庭で1匹飼育する成魚へそのまま当てはめることはできません。
また、成魚のオスを調べた研究では、1回餌を食べた後も、消化酵素の活動が24時間にわたって続きました。
短い間隔で何度も追加するより、ベタが食べ切れる量を決め、1日分の総量を管理することが大切です。
餌を欲しがる反応が強くても、それだけで不足しているとは限りません。
食べ残しやフンが増えれば、アンモニアや亜硝酸による水質悪化につながります。
餌を与えた後は、その場を離れず、ベタが食べ切ったことを確認しましょう。
ベタにとって大切なのは、たくさん食べることではありません。
必要な栄養を適量食べ、水質の良い環境で過ごすことです。
サカタのベタでは、これからも論文や研究をもとに、初心者の方にも分かりやすく、ベタにやさしい飼育方法を考えていきます。
参考動画
参考文献
- Norazmi-Lokman, N. H., Baderi, A. A., Zabidi, Z. M., & Diana, A. W. (2020).
Effects of different feeding frequency on Siamese fighting fish (Betta splendens) and guppy (Poecilia reticulata) juveniles: Data on growth performance and survival rate.
Data in Brief, 32, 106046.
DOI: 10.1016/j.dib.2020.106046
- Hahor, W., Takaeh, S., Esor, N., Saekhow, S., & Thongprajukaew, K. (2023).
Postprandial Patterns of Digestive Enzyme Activity in Male Siamese Fighting Fish (Betta splendens).
Journal of Fisheries and Environment, 47(1), 1–10. - Lichak, M. R., Barber, J. R., Kwon, Y. M., Francis, K. X., & Bendesky, A. (2022).
Care and Use of Siamese Fighting Fish (Betta splendens) for Research.
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DOI: 10.30802/AALAS-CM-22-000051 - Francis-Floyd, R., Watson, C., Petty, D., & Pouder, D. B.
Ammonia in Aquatic Systems.
University of Florida IFAS Extension, FA031.
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